「銚子日帰り下車旅 2/3 (海鹿島~犬吠埼~犬吠~長崎鼻)」
[2015/1/31]
千葉北西から鈍行を乗り継ぎ「関東最東端の駅」海鹿島へやって来た私は、
さらに端っこの地へ向かうべく、駅前から関東最東端の岬「犬吠埼」へ向けて出発した。
犬吠埼の最寄りは犬吠駅(徒歩10分)だが、海鹿島駅からでも歩いて行けないことはない距離だ。
海鹿島駅~犬吠埼(徒歩)
関東最東端の駅から関東最東端の岬へは約2.5kmの道のりである。
最端から最端へ行く「最端妙味」に今回は拘ってみた。日帰りながら最果て三昧!
路線バスも利用してみようと思ったが、鉄道と上手く噛み合わないので断念。
銚子電鉄の駅を拠点として散策するプランを立てれば、それで十分な気がした。
海鹿島駅前は意外と交通量が多く最果て感が薄い。
駅前から道を北東に進むと突き当たりに出るが、そこを右に曲がって進んでいくと海の方へ行ける。
Googleマップを頼りに道を進んでいくと、道の先に太平洋が見えてきた。海鹿島海岸だ。
海鹿島一帯は風光明媚な風景で知られ、その昔多くの文豪が滞在したことでも有名である。
千葉東部の海岸といえば代わり映えのしない景色を想起させるが、
海鹿島海岸は思った以上に情緒深い景色が広がっている。
辺りは人っ子一人いない。隠れ名所的な雰囲気が漂ってるな。
海岸には民家(?)の廃墟もあり、侘しさを一層醸し出している。
銚子といえば犬吠埼が有名だから、そっちに観光客が流れてしまうのだろうか。
ひっそりとした海鹿島海岸から犬吠埼へ向けて君ヶ浜沿いを南下していく。
さっきの情緒ある風景とは打って変わり、浜は侵食防止のためのコンクリートで塗り固められていた。
この辺りは海流が複雑らしく波は高く荒い。
コンクリートでがっちり固められるまでになったのも納得。
豪快に波打つ太平洋の向こうに旅の目的地である犬吠埼が見えてきた。
犬吠埼は日本で一番早く初日の出が見られる場所として有名で、元旦には多くの人が訪れる。
あの岬に建つ犬吠埼灯台は歴史的価値が高く「世界灯台100選」にも選ばれている有名な灯台だ。
犬吠埼
君ヶ浜沿いをひた歩き、海鹿島から30分で犬吠埼へ。
犬吠埼へ近づくごとに人気が多くなり、駐車場にはそれなりに車が止まっていた。
灯台近くには地元の飲食店やお土産屋が数件あるようだ。
銚子自体は何回か訪れているが犬吠埼へ来たのは初めて。
犬吠埼灯台はいかにも「灯台」といった立派な姿で、日本に5つしかない第1等灯台の一つらしい。
この灯台が建てられたのは今から約140年前(1874)のこと。煉瓦建造物として国内第二位の高さを誇っている。
日本製の煉瓦19万3000枚によって出来ており、二重構造にすることで丈夫なつくりになっているという。
海の難所とされる犬吠埼一帯で、この灯台は一世紀半ずっと風雨に耐え続けてきたすごい奴なのだ。
犬吠埼灯台は一般公開されており、参観料を支払えば灯台の上まで登ることもできる。
灯台裏まで続いている遊歩道が気になったので、行ってみることに。
関東最東端グッジョブ!
自撮りもやってみたいがこっちの方が手軽でいい塩見だ。自撮りって痛々しいイメージがあるので。
遊歩道の先にあった何のことない岬の景色。でも、一応ここが関東の東の最果てなのだ。
絶壁の向こうは太平洋が広がるばかりで、青い空と海以外は何も見えない。
太平洋の遥か向こう、距離にしておよそ8400kmのところにはアメリカ大陸がある。
犬吠埼から真っ直ぐ東に進路をとればサンフランシスコやロサンゼルスにぶつかるから驚きだ。
……犬吠埼とアメリカ西海岸って全然接点を感じないけどね(笑)
関東最東端の景色を堪能した後、キリのいいところで犬吠埼を出発する。
次は銚子電鉄の観光拠点「犬吠駅」を探索してみよう。
犬吠駅は犬吠埼から徒歩10分のところにある。
犬吠埼周辺は観光施設が充実していて大型飲食店やホテルが立ち並んでいる。
海沿いの県道を進み裏道へ入っていったところに銚子電鉄の駅はあった。
犬吠駅
犬吠埼からほどなくして犬吠駅へ着く。
駅舎はポルトガルの宮殿を模した独特のつくりで「関東の駅百選」にも選ばれている。
立派な宮殿風駅舎が完成したのは1990年で、駅構内にぬれ煎餅の売店も併設されている。
当初「燈台前」と名乗っていたこの駅は、銚子電鉄が観光路線で売り出してから最大の観光スポットとなっている。
以前は駅前広場に旧型電車を利用した喫茶店もあったらしいが、老朽化が進んでいたため、2012年に解体処分されてしまっているのが残念。
ヨーロッパ風の駅構内は天井が高く広々としていて気持ちいい。
売店には様々なものが売られており、普通のお土産や鉄心を刺激するグッズもある。
ただ銚子電鉄といえばやっぱりぬれ煎餅なので、10個入りのぬれ煎餅袋を購入した。
駅舎の前には桃太郎電鉄の名物キャラ「貧乏神」の石像があった。
ハドソンが自ら寄贈したものらしい。銚子電鉄は桃鉄の題材に使用されたことがあるのだ。
桃鉄はスーファミで散々やったから懐かしい気分になった。(確かスーパー桃鉄II)
しかし、取り付かれると絶望しかない「貧乏神」を福の神とするのも何か妙な話だがw
これは……さっき海鹿島駅で見かけた萌えキャラの等身大パネルだ。
名前は「外川つくし」というらしい。
トミーテックが展開する「鉄道むすめシリーズ」の一人で、犬吠駅で駅務係として働いている設定になっている。
・銚子電鉄犬吠駅の駅務係として勤務
・好きな食べ物はぬれ煎餅とたい焼き
・笑顔が自慢で花と子供が大好き
・名前は銚子電鉄の終着駅「外川」と「澪つくし号」に由来
・銚子電気鉄道商品化許諾済
・ツイッターの公式アカウントを持っている
彼女「外川つくし」の詳細なプロフィールはこんな感じ。
等身大モデルを撮っていると、脇からそそくさと「鉄」の人が加わり撮影し始めた。
結局私も、銚子電鉄の萌えキャラ術中にハマってしまったのだろうか??
ぬれ煎餅を買って外川つくしを存分に撮った後、犬吠駅を出た。
長崎鼻
時間はまだ余裕あるので、今度は犬吠駅から銚子最南端の長崎鼻へ行ってみよう。
観光地として有名な犬吠埼に対し長崎鼻は一切観光化されてないらしい。
海沿いの道をしばらく進むと、こじんまりとした岬と灯台が見えてきた。
犬吠駅から20分強、寂れた港集落を抜けたところで長崎鼻に到着。
何もなさそうなところだというのは、事前に予想がついていたのだが………、
本当に、何もねえ。
岬には漂流物が散乱しており、打ち捨てられたボートが一隻転がっている。
土管を縦にして白く塗りたくったような白塔は、正式に「長崎鼻一ノ島照射灯」というらしい。
光で船を誘導する灯台とは異なり、照射灯は光を照らして特定の場所を示す役目に留まった施設である。
観光地然としていた犬吠埼とは打って変わり、こっちは最果て感がムンムン漂ってるな。
誰もいないし売店や商店まで一件たりともない。北風が吹きすさぶから余計侘しくなった。
左手を眺めると、先ほど訪れた犬吠埼が遠くに見える。
「銚子の最南端」VS「関東の最東端」。
歴史的価値とネームバリューでいえば犬吠埼が勝るが、ひなびた最果て旅情を醸し出す場所(何じゃそりゃ)としては長崎鼻に軍配が上がるだろう。
何せここは、銚子電鉄HPの沿線ガイドにすら取り上げられてないのだから(笑)
華やかな犬吠埼灯台に対し哀愁たっぷりの長崎鼻。この照射灯の初点灯は昭和30年にまで遡る。
照射灯は灯台と併設されることが多く、照射灯だけが独立して建っているのは珍しいという。
こいつは、ここで60年間ずっと独りで沖合いの岩礁を照らし続けてきたのだ。
次回は復路となるが、日暮れまで時間があるので銚子電鉄の「本拠地」仲ノ町駅へ行ってみよう。
仲ノ町で下車した後は歩いて銚子駅へ向かい、特急しおさいに乗って帰路を辿る。
長崎鼻の景色を堪能した後、私は銚子電鉄の終着「外川駅」へ向かった。