関東最東端の駅、海鹿島へ

「銚子日帰り下車旅 1/3 (新松戸~千葉~銚子~海鹿島)」

[2015/1/31]


何でもかんでも最端にすればいいってもんじゃない。
しかし、日帰りで行ける最果ても悪くないと考えた。
国鉄最四端は一ヶ月前に制覇したが、日本の最端はまだまだそこらにあるので懲りずに鈍行で行ってみよう!
やっぱり、鈍行で行ってこその最果てだ。


計画~導入


今回の旅の目的地は「関東最東端の駅」である海鹿島だ。
海鹿島は銚子電鉄の途中駅で、関東地方にある駅の中では最東端に位置している。

出発地は何時も通り新松戸。関東最東端まで約120kmの道のりとなる。
まず新松戸から武蔵野線に乗って西船橋へ行き、総武緩行線に乗り換えて千葉へ向かう。
千葉からは総武本線で終点銚子を目指す。そして銚子で銚子電鉄に乗り換え、関東最東端駅の海鹿島へ。
海鹿島到達まで3時間強の道のり。海鹿島に着いた後は犬吠埼へ向かう予定だ。

午前9時半に新松戸へ向かい券売機で銚子までの切符を購入。運賃は片道1940円だ。
昨日は珍しく雪が降っていたが今日は文句無しの快晴。
ただ昨日からの冷たい風は相変わらずで、真冬の北風が吹き荒ぶ。
しかし一ヶ月前に行った最北稚内と比べりゃ関東の寒さなど敵じゃない!


武蔵野線 [新松戸~西船橋]

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関東最東端への道のりは土日も混雑する武蔵野線から始まる。
南船橋行きは子供連れ(とギャンブルの親父)が多く、賑やかである。
武蔵野線は都心~地方へ向かう幹線に乗り継ぐのに不可欠な路線となっているが、直通する京葉線とともに高架区間が多いため、雨風が強まるとすぐに運転見合わせとなるのが悩みの種だ。

現在の武蔵野線の主力車両はVVVF改造された205系である。
最近209系のお古が入ってきたというが本数が少ないのか滅多に見かけない。
お下がりからお下がりへ車両が移り変わっていく様は、同じオレンジ色の中央線とは格が違うね!


総武緩行線 [西船橋~千葉]

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西船で黄色の総武緩行に乗り換え緩行電車の終着千葉へ向かう。
総武緩行は錦糸町で総武本線を離れ、御茶ノ水から中央線の緩行電車として働いている。
中央線といえばオレンジ電車なので、黄色い電車は「中央線内でも総武線」という認識が強いのだとか。

千葉までは延々と住宅地が続くため車窓は面白みがない。
西船から20分強で終着千葉へ到着する。


総武本線 [千葉~銚子]

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千葉からは総武本線の鈍行に乗って銚子を目指そう。車両は209系。短い4両編成での運転だ。
東京~千葉の複々線から総武本線の終点まで行く列車は一本もないので、銚子へ行くには千葉で必ず乗り換える必要があるのだ。

総武本線に「本線」が付いた大元は、明治42年(1909)に鉄道院が制定した国有鉄道線路名称にある。
これは当時国有化された鉄道路線を名称付けしたもので、民営化以後のJR各社にもほぼ引き継がれた。
国有鉄道線路名称は23部72路線に分類され、各地域の路線ごとに包括された「部」に分かれているのだが、
このうち総武本線は「総武線の部」を代表する路線となっているのだ。

「総武線の部」

・総武本線(東京〜銚子・錦糸町〜御茶ノ水)
・京葉線(東京〜二俣新町〜蘇我・市川塩浜〜西船橋・西船橋〜南船橋)
・外房線(千葉〜大網〜安房鴨川)
・内房線(蘇我〜木更津〜安房鴨川)
・成田線(佐倉〜成田〜我孫子・成田〜松岸・成田〜成田空港)
・鹿島線(香取〜鹿島サッカースタジアム)
・久留里線(木更津〜上総亀山)
・東金線(大網〜成東)
・木原線(大原~上総中野)←1988年に第三セクター(いすみ鉄道)に転換


民営化以後この名称一覧は公式に使用されてないが、「総武線の部」に包括される路線は上記の9路線がある。
これら全ての路線を代表する路線として総武本線は「本線」の称号が与えられたのであった。
しかし今、案内上「総武本線」と名乗っているのは千葉以東の区間のみである。


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「7番線に到着の列車は、総武本線の各駅停車銚子行きです!千葉を出ますと、東千葉!つぅ~~がぁ~~~!よぉ~つぅ~かぁ~いぃ~どうぅ~~~!物井!佐倉の順に停車致します!
ご利用の方はお早めにご乗車下さい!ハイ、銚子行き間もなく発車致します!
駆け込み乗車はお止めください!次の電車をご利用ください!ハイ発車しまーす!!」


千葉駅は自動アナウンスが地元の苦情で廃止されたためか駅員がクドイほどに煽る。
ひたすら煽ってガミガミまくし立てるのである。これは他の駅にない特徴かもしれない。
都賀と四街道だけ思わせぶりに語尾たっぷりなのは駅員さんの癖なのか?(笑)



列車は千葉を出るとしばらく住宅街を進み、四街道あたりから田畑が現れ始める。
閑散とした田園地帯を走り、短い隧道を抜けると間もなく佐倉へ到着。

ここから総武本線は単線となり、本数の少ないローカル線となる。


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佐倉からは長閑な風景が続き単線をひた走っていく。
総武本線沿いはもっとバリバリ住宅地だと思っていたが、車窓は予想以上に長閑な風景だ。
八街(やちまた)という難読駅で地元客がドッと降り、混雑していた車内が空いてきた。
日向と書いて「ひゅうが」と読む駅で数分停車し、一駅隣の成東では東金線と接続する。


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成東からも相変わらず長閑な風景を走っていくが、瓦屋根の民家が多くなり本格ローカルの様相を呈する。
真っ直ぐに伸びた一本の線路は本線というより完全にローカル線の趣である。
古びた駅舎が味わい深い松尾を出て、住宅が増えてくると横芝に到着。
成田線もそうだが、総武本線も激渋の駅名が多いと思う。

八日市場で再び乗客が増えた。終点の銚子まであと30分強。
八日市場からはしばらく住宅地をひた走るが、を過ぎたところで人家が少なくなる。
成東から銚子まで太平洋沿いを走る総武本線だが海から5kmほど離れているため海を拝むことは出来ない。


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飯岡を過ぎると小高い丘陵地帯へ突入し、隧道と切り通しを抜けて倉橋へ向かう。
倉橋は野山の無人駅だ。倉橋から松岸まではカーブで丘陵を切り抜ける。

進行方向左手には、風力発電のプロペラが立っているのが見える。
侘しい野山を抜けると成田線と交わる松岸へ到達。
ここまで来れば「関東最東端の街」はすぐそこだ。


銚子駅

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やがて千葉から1時間40分で終点の銚子に到着した。
ここからは銚子鉄道だ。銚子鉄道のホームはJR側ホームの端にある。


銚子電気鉄道 [銚子~海鹿島]


銚子電気鉄道、略して銚子鉄道は総武本線と接続する銚子から外川までを結んでいる。
関東最東端の地方ローカル線であり、全長6.4kmの単線に合わせて十の駅がある。
開業は大正12年(1923)と古く、鉄道輸送の他に副業として食品製造も行っている。


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銚子電鉄はかつて、厳しい経営状況から「運行休止」の危機に陥ったことがあるらしい。
どうしようもない事態に陥った2006年、銚子電鉄は公式ホームページに以下の呼びかけを公表した。

「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。」


会社が危機に瀕している状況がひしひしと伝わるこの衝撃の一節は、公表されると瞬く間にネット上に拡散。
そしてネットを通じて危機を知った人々が、同社が製造する名物「ぬれ煎餅」を大量注文したのである。
ネットで話題になっていることがわかるとマスメディアも一斉に報道し、ぬれ煎餅の注文は殺到。
一時は生産が間に合わず注文ストップとなり、売れに売れたという。


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少し前まで銚子電鉄は嘘みたいに年季の入った旧型電車(乗りたかった!)が走っていたが、老朽化が限界に達したため全て引退済。
現在走っているのは昭和に活躍した他社車両のお古である。
これから乗車するのは京王・伊予鉄道で活躍していた2000形。京王時代のグリーン色を再現している。

どうやら銚子駅に銚子鉄道用の改札はないらしく、車掌が切符の販売を行うみたいだ。
車内は至って空いており地元の人と観光客が半数ずつといった感じか。
13時00分、外川行き列車が定刻から少し遅れて発車した。


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列車が発車してから、海鹿島までの切符を購入するため車掌さんに声をかけた。

「すいません、うみかしままでお願いします」
あしかじまですね、240円になります」


あぁ~肝心なところで間違えちまった!なんと海鹿島は「あしかじま」と読むらしい。
絶対「うみかしま」だと思ってたのに、余計恥ずかしい。
地味ながらも難読レベルじゃないか?この駅名は。


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沿線は住宅も多いが畑が点在していてのどかな風景が広がっている。
列車の速度はのんびりしていて、頑張れば自転車でも追い越せそうな速度だ。
本銚子あたりで上り勾配になり左手にそこそこ展望のよい景色を見ることができる。


海鹿島駅

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のんびり走る列車に揺られること十分強、列車は関東最東端駅の海鹿島へ到着した。
降りたのは私一人だけ。駅周りは閑静な住宅地である。

ホームへ降り立つと車掌さんの集札を受け、間もなく走り去っていった。


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ホーム上には、関東最東端の駅であることを示す碑がある。
碑そのものは新しく最近に建てられたもののようだ。
こうして碑が建ってると到達したことの喜びをダイレクトに感じられて良い。

ただ、結果的に出発から到達まで3時間強しか経ってないので、「関東最東端、来たぜ!」ってほどのテンションにはならないのが正直な本音だ(苦笑)


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海鹿島駅の全景はこんな感じ。ジオラマのようにこじんまりとした無人駅である。
ホームの簡易トイレを利用しようと思ったが、どうも使えないっぽいのでスルー。
年季の入った木造駅舎は手入れが行き届いており、構内壁には地元の広告が沢山貼られていた。


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萌え広告キターーーーーッ!!


萌え~な広告が多いほど、その鉄道会社は厳しい経営状態にあるという現実が透けて見えてしまう。
地元利用客のみで地方ローカルの鉄道はとてもやってけないからだ。
萌えキャラの正体については、次回の記事で取り上げようと思う。

「俺はアニオタでもないし鉄オタでもない、乗り鉄なんだ!」とどうでもいい自問自答を繰り返しながら、
私は駅前から徒歩で、関東最東端の岬「犬吠埼」へ向かった。


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