リゾートみのり号が行く

「秋田ローカル鉄道旅 1日目 (大宮~仙台~小牛田~新庄)」

[2015/10/16]


「秋の秋田へ行こう!」


秋だから秋田へ行こうなんて馬鹿みたいな発想で秋田へ行くことにした。
今回の旅は少し雑多だが、長距離鈍行旅でやれることはやってしまった感があるので、
今後は路線単位で鉄道旅を楽しんでいこうと考えている。

その路線を焦点に当てた第一発目が今回の秋田ローカル鉄道旅というわけだ。
何時も通り以下で行程を概観していこう。


計画~導入


今回の鉄旅の起点は仙台とした。
早朝に新幹線で東京から仙台へ行き、そこから鈍行と臨時快速を乗り継いで進んでいく。
一日目のメインは陸羽東線陸羽西線(画像左)だ。
陸羽の二路線を完乗したら日本海沿いに出て羽越本線を北上。象潟に立ち寄った後、羽後本荘で一泊する。

二日目は羽後本荘から往復で由利高原鉄道のまごころ列車に乗り、
さらに秋田を経由して角館から秋田内陸縦貫鉄道の臨時紅葉列車に乗って弘前へ向かう。
弘前へ到達したら奥羽本線を北上し、新青森から新幹線に乗って帰宅。合わせて一泊二日の行程だ。

陸羽東西線・由利高原鉄道・秋田内陸縦貫鉄道の三大コンビを、今回は存分に楽しんでくるつもりだ。
臨時列車をふんだんに盛り込んだ、ささやかながら華やかな鉄道旅の始まりだ。
何時ものバックパックに荷物を詰め込み、朝6時に家を出た。


はやぶさ/こまち3号 [大宮~仙台]

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季節はすっかり秋で東京はまだ暖かいが、東北は既に最低気温10度を下回ったという。
今回は一丁前にハット帽を被ってきたが、夏物素材で若干場違いな気がする。
でも、コレ以外にストックがないのだった。まあ何もかぶらないよりはマシさ。

まず武蔵野線と埼京線に乗って一大鉄道ターミナル大宮へやってきた。
大宮からは東北新幹線に乗って一気に仙台を目指す。この時間帯は下りでも混雑していて、立席扱いの便もある。
ボヤボヤしてるうちに本来乗るはやて111号が行ってしまったので、一つ後のはやぶさ/こまち3号に乗り込んだ。
前側にはこまちの車両が連結されていて盛岡まで一緒に走るようだ。

東北路を北上するごとに天気は回復してきた。
鈍行だと何時間もかかるところを新幹線は1時間足らずで行ってしまう。
旅情もへったくれも無いが、新幹線は時間を短縮できるのが売りだ。
関東平野を出てトンネルが多くなってくると、列車は長閑な山の中を突き進む。
仙台一歩手前のところで天気はすっかり晴れ渡った。快晴の青空。絶好の旅日和だ。



仙台までやってきたのはいいが、さっきはやてを乗り損ねてたおかげで乗り継ぎがシビアになってしまった。
今乗ってるはやぶさ/こまち3号が仙台に着くのは9時10分で、リゾートみのり号が仙台を出るのは9時13分
たった3分で乗り換え改札を通って在来ホームに移動しなければならない。結構鬼畜だ。
仙台駅は乗り換え改札が一箇所しかないという。そこをどう切り抜けられるかが問題だ。

「ぬあああああーーー!!間に合うかあああああーーー!?」
(↑新幹線ホームを小走り中)


はやぶさ/こまち3号は定刻どおり仙台へ到着。
駅構内図を頭に叩き込み、鼠の如き足取りで在来ホームへ駆け下りた。


リゾートみのり [仙台~新庄]

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「リゾートみのり」は、東北本線/陸羽東線で運行されている臨時列車である。
この列車は五能線の「リゾートしらかみ」を下地として導入されたジョイフルトレインで、
既存の国鉄気動車をリゾート用に大改造して2008年に運行を開始している。
全席指定席で通常は3両編成での運転。運行日は主に金・土・日・祝で、JRの公式HPで確認が可能だ。

新幹線ホームから乗り換え改札を突っ切り急いで在来ホームへ向かうと、いぶし銀の茶色の気動車が停まっていた。
仙台から新庄まで一本で行ってくれるリゾートみのり号だ。
既に車掌がホームに出て発車ベルを押そうとしているので、写真を撮った後はすぐ列車に飛び乗った。

9時13分。私が乗り込んで間もなくリゾートみのり号が出発する。
見慣れた東北本線を北上し、松島が近づいたところで観光案内が入った。
東北路はのっぺりした中に随所で見所が現れるから侮れない。
松島を抜けると、列車はただっ広い田園をひた走る。


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3時間強に及ぶ長旅だが、座席はリクライニング出来るしシートピッチも広いので快適だ。
列車の端は展望スペースになっており、座りながらかぶりつくことも可能。
今回撮った席は進行方向左側だ。
どちら側の車窓もどっこいどっこいの陸羽東線だが、車窓は南側の方が開けるという。

9時51分、列車は小牛田に到着。ここから列車は陸羽東線に入り、一路新庄を目指すことになる。
陸羽東線は鳴子温泉を境に運行系統が分かれていて全線通しの列車は限られているが、
リゾートみのり号は全線通しで行ってくれるので乗り換えの手間を考える必要がない。
そういう意味で、この列車は乗り鉄にとって有難い存在だ。


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小牛田を出ると東北本線と分かれ、単線非電化の陸羽東線に入った。
これまた広大な田園を進んでいくと新幹線と接続する古川に着く。
古川では10分ほど停車。ドッと観光客が増えた。

10時14分、列車は古川を発車する。
古川から陸羽東線は少しずつローカルになっていくが、辺りは相変わらず田園の中だ。
西古川の脇にはSLが保存されていると言うので、左側を見ていると朽ちたSLが見えた。


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岩出山では対向列車待ち合わせで数分停車し、そこからほんの僅かで有備館へ。
有備館を出るとひたすらただっ広い田園を突き進み、列車はいよいよ山間部へ突入。
左手に巨大なコケシが見えると、陸羽東線は山岳路線の様相に変わる。

川渡温泉を出ると辺りは深い山の中。橋上にある鳴子御殿湯を過ぎると、
右手に江合川を見ながら観光拠点の鳴子温泉へ到着した。ここでは23分停車するようだ。


鳴子温泉駅

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さっそく列車を降りると、何処からか温泉の匂いが漂ってきた。
リゾート列車らしくホームでは手厚く歓迎の幕も出た。
東京と比べるとすっかり肌寒く、東北の地へやってきたことを実感する。

鳴子温泉を出ると列車は本格的な山間部に入る。陸羽東線最大のハイライト区間だ。
長いトンネルを抜けると、座席付属の案内にも”美しい”と絶賛する鳴子峡が現れた。


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鳴子峡通過時は徐行しながら進むが、ここばかりは右手の車窓が素晴らしい。
トンネルとトンネルの間の僅かな隙間に鳴子峡はある。
鈍行は一瞬で通り過ぎてしまうのだろうが、紅葉期には鈍行でも徐行運転をやってるらしい。
ほんの僅かながら絶品の紅葉景色を味わった。


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宮城~山形の県境に差し掛かると本格的な峠越えとなり、勾配を延々と上っていく。
並行する道路は国道47号。起点から終点まで陸羽線と運命をともにする二桁国道だ。
峠を越え山形の地へ入ると、列車は展望がいいところをのんびりと走る。


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瀬見温泉を過ぎると終点新庄はあと少しだ。小国川とともに緩やかな坂を下り山間を抜けていく。
割と高いところを走るので展望は良い。そのいずれも左側に眺めの良い車窓が展開する。
小国川が離れると人家が増えてきて奥羽本線と合流した。

奥羽本線はミニ新幹線も走れるように線路規格を変えてあるので、陸羽東線の線路と独立しているようだ。
終点一つ手前の南新庄を出ると奥羽本線と並行しながら進み、新庄市街へ入っていく。


新庄駅

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12時26分、リゾートみのり号は終点の新庄に到着した。
取り敢えずこれで陸羽東線は完乗だ。新庄駅からは陸羽西線に乗って日本海側を目指すことになる。

新庄では一時間半の滞在時間がある。取り敢えず駅前に出て昼飯にありつくことに。
ネットで調べたところ、駅近に美味しいラーメン屋があるとのことで早速向かう。
新庄駅から徒歩数分で行ける「新旬屋麺」。入店すると女性店員さんの呼び声で出迎えられた。
気の利いた接客が素晴らしい!というか、これまで訪れたラーメン屋の中で一番素晴らしいw


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おすすめメニューを聞いてみたら、一日十食限定の「金の鳥中華SPECIAL」がお得ですというので、それを注文。
東北の具材をふんだんに使ったラーメンって感じだ。その味をラーメン激戦区で鍛えた舌で味わう。
さすが“SPECIAL”と題するだけあって、具材がこれでもかと盛り込まれている。
味玉にきんかん、宮城県産の海苔五枚に加え、チャーシュー二枚と海老ワンタンが二個入ってるという豪華ぶりだ。

これで780円だから凄い!麺は素朴な縮れ麺で、スープは鶏の出汁に醤油と塩が加えられた独特なもの。
結構な種類のラーメン(主に二○インスパイア系)を食してきたが、これは他で見たことがない。
腹が減ってたので、麺・スープともにあっという間に完食してしまった。


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地元密着ラーメンを味わった後、すぐ新庄駅へ戻り14時14分発の酒田行きを待った。
3路線とミニ新幹線が乗り入れる鉄道拠点だけあって、新庄駅は立派な面構えだ。
ミニ新幹線が乗り入れているのに、改札が有人改札のままってのが意外だけど。

次回!新庄から陸羽西線と羽越本線に乗って、夕陽名所である象潟海岸へ向かう!


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