SLばんえつ物語号に乗って

「北海道一人旅 6日目 (新潟~喜多方~会津若松~郡山~水戸)」

[2013年4月6日]


5泊6日の長旅もついに最終日を迎える。
基本的に今回の旅のメインは北海道なので、あとは順当に帰路を辿って行くだけだ。
しかし今回の旅の中で最も待ち焦がれていたのは、今日乗車するSLばんえつ物語号だ。
僕は今まで動くSLを見たことがなかったので、それこそ楽しみでしょうがなかった。

朝起きたら早々に宿をチェックアウトし駅へ。新潟駅は朝から沢山の人で賑わっている。
発車の時間も迫っていたので早速ホームへと駆け込む。


SLばんえつ物語 [新潟~喜多方]

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そこにはかつて自分が決して動く姿を見たことがなかった、あの黒光りした物体が佇んでいる。
この威厳というか、電車にはない圧倒的な重圧感に感動する。
こうして実際に動くSLを見るのは初めてだ。

男の子が興味津々に機関車に手を差し伸べている。
幼い頃の自分も、恐らくこういう風にして鉄道と親しんでいたのだろう。


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当たり前だが、確かに動いている。近寄るとものすごい熱気が漂う。
今日は今年最初の運転日らしく、新たに導入されたグリーン車も同時デビューとなる。


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僕が取った席は6号車の普通席。
進行方向に向かって左側だが車窓はどちら側も素晴らしいと聞いている。
ボックスシートだが、たまたまか向かい側の席は誰も取らなかったみたいだ。


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列車は定刻通り新潟駅を出発する。
出発と同時に汽笛が鳴り響き、盛大なお見送りが行われる。
何が盛大なのかというと、とにかくありとあらゆる方々が手をばんえつ号に向かって振っているのだ。
見上げると、ビルの窓から手を振っている方もいる。


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新潟駅を出て約20分で新津駅に着く。
そして新津駅を出てすぐのところで、かつてC57を保存していた新津第一小学校が見えてくる。
校庭では野球部の子供達が一斉に帽子をこちら側へ振っている。素晴らしいことだと思う。


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しばらくすると車掌さんから気合いの入った挨拶があり、惜しみない拍手が送られる。
それからまた少し時間が経ったところで、今度はジャンケンによる抽選会が行われる。
勝者には缶バッチが贈呈されるとのことだが、僕は運がよかったのか最後の最後まで残り続け、まさかと思ったが缶バッチをもらうことができた

どうも今回の旅は妙にラッキーなことばかりである。
普段は絶対どこかでつまづくのになあ。


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やはり橋の下からカメラを構えている人が多い。
実際SLは乗るより外から見る方が面白いのだろう。
僕も今度機会があったら外から見たい、走る機関車の勇姿を。


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少しずつ山が深くなってきた。
新潟から終点の会津若松までだと4時間近くかかる。長い。
しかしあっという間に時間は過ぎていく。
昨日の701系の洗礼に比べたらまるで天と地の差である。


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何というか、SLに乗っているだけで楽しいのだ。
トンネルの中では煙が窓の隙間から入ってきたり、初めて乗る自分にとっては新鮮なことばかりである。


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津川駅に到着した。ここでは機関車の点検と給水のために15分ぐらい停車する。


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今の電車には決してない、機械の部品一つ一つが動くべきところでしっかり動いてるっていう感じがいい。
給水シーンを見るだけでも圧倒されてしまう。


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乗車してから結構時間が経つのに、未だにこのSLが動いているっていう実感がないのは何故なのか。
目の前にあるのは本物のSLだが、とにかくインパクトがあってポカーンと口を開けて見てるような気分だ。


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車内インテリアは大正ロマンのイメージで統一されている。
他にも展望車があったりとか、徹底された車内サービスとか、どこもかしこも豪華絢爛である
とにかくあらゆる人々が関わり協力し合って成り立っているのだろう。本当に素晴らしいことだと思う。
とても500円だけ足して乗れるものとは思えない。


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山もかなり深くなってきた。


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この辺りではダムが数ヶ所見られる。


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登り勾配を力強く登っていく。
こういう急カーブ越しにSLが見えると、正に自分がSLに乗っているのを実感する。
後方の6号車の席にしたのも、元はといえばカーブ越しに走るSLの姿を見たかったからだ。


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しかし線路際ギリギリでカメラを構えている人が多い。
何もそこまでして撮らなくても、と思う。


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山都駅でも点検のために10分程停車する。



やがて乗車してからおよそ3時間半経ったところで、喜多方駅に到着した。
実は終点の会津若松まで乗りたいのだが、ラーメン好きとして喜多方は外せない。
折り返しで戻ってくる手もあるが、時間が手一杯になってしまうので、喜多方でばんえつ号を降りることに。


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やはりほとんどの人は終点まで乗るみたいだ。
汽笛が鳴り響き列車は終点の会津若松へと向かっていく。
心に残る素晴らしい旅をありがとう、SLばんえつ号!


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駅前は閑散としている。
喜多方ラーメンの店に関する情報は既に調べていたので、早々に目当ての店へと向かう。
腹も減ってきたし、雨も降りそうなのでなおさら急ぐ。


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二軒はしごして喜多方ラーメンを味わった後、時間が少し余ったので駅前横にある喫茶店で時間を潰すことに。
ここ「煉瓦」というアンティーク・カフェではダッチ・コーヒーが飲めるらしく、コーヒー好きの自分はすぐに注文。
澄んだ中にもまろやかな味わいがあって、とてもおいしい。


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次の列車の時間が迫っていたので駅に戻ると、折り返しでSLばんえつ号が汽笛を鳴らしながら入線してきた。
その後すぐに会津若松行きの普通列車が到着する。
SLを見送りたいのだが、車掌さんは容赦なく出発の笛を鳴らす
ちょっとだけ待ってくれてもいいのになあ。


磐越西線 [喜多方~会津若松]

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喜多方駅から約15分で会津若松駅に着く。
古くからある城下町ということで色々見て回りたいが、滞在時間は一時間ほどなのであまり遠くへは行けない。
とりあえず駅前近くを適当にぶらつくことにする。


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そうしてぶらついているうち、元々雲行きは怪しかったが遂に本格的に雨が降り出し始めた。
予想以上に雨足が強くなってきたので、慌てて駅の方へと戻る。
会津若松を出ると自宅最寄り駅まで途中下車は一切できなくなるので、
とりあえず駅前のコンビニで十分な飲み物と晩飯を買っておく。



ここからはただひたすら列車を乗り継いで帰路へと向かうわけだが、それぞれ乗り継ぎの時間が非常にシビアである。
どこかしらで一度でも乗り遅れると、今日中に家に帰れなくなる


磐越西線 [会津若松~郡山]

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会津若松から郡山までは快速のあいづライナーに乗車。特急車両485系が使用されている。

途中折り返しの電車が少し遅れたので、列車は数分遅れて郡山に到着。
郡山での乗り継ぎ時間はたった3分である。
最悪間に合わなければ東北本線で南下するルートで帰ろうと思っていたが、水郡線の列車がこちらの乗り継ぎ客を待っていてくれたので無事に乗り継ぐことができた。


水郡線 [郡山~水戸]


水戸行き最終列車は定刻より数分遅れて発車した。これから終点の水戸まで約3時間の道のりだ。
キハE130系は加速が凄まじく、まるで気動車という感じがしない。
車内はほとんど学生で占められている。

しばらくすると席が空いてきたので、ボックスシートに座って夕飯を食べる。


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途中の常陸大子駅で20分ほど停車する。天気はかなり荒れてきた。
駅はローカル線の風情そのものなのに、車両はピカピカのステンレス車両というところに違和感がある。


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その後はほぼ定刻通りで水戸駅に到着した。およそ10分後に上野行き最終列車が来る。
雨風が酷くなり運転見合わせになりそうな勢いだったが、無事自宅最寄り駅へ到着。
激しい雨の中びしょびしょになって夜中0時過ぎに帰宅。
明日は朝からバイトがあるので早々に寝床へ転がりこんだ。

翌日、全国的に天気は大荒れとなった。
北海道は全ての路線が終日運休、当然急行はまなすも運休SLばんえつ号も運休となっていた。
もし仮に旅の日程をずらしていたら、とゾッとする。

何はともあれ、今回の旅は個人的には大成功だった。
旅の間ずっと天候に恵まれていたことに改めて感謝している。

(完結)

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