日本本土最南端の終着駅、枕崎へ

「西国片道旅行 1日目 (東京~名古屋~大阪~岡山~高知)」

[2014/8/13]


最東端(根室)と最西端(佐世保)はもう行った。
じゃあ、次は何処へ行こうかと考える。

「………最南端、行っちゃうか?」


最果て鈍行旅シリーズ第三弾。
東京から何処までも鈍行で行く、途方もない馬鹿旅が再び始まる!


計画~導入


最四端のうち既に二つ制覇したとなると、残り二つも行って最四端全制覇といきたいところである。
そこで、今回は日本最南端の終着駅である枕崎を目標地点として、二泊三日の行程を計画した。
ちなみに鈍行で行くのは往路のみで、復路は新幹線に乗って一気に帰路へ着く予定である。
こんな旅二度とやらないと思うが、それでも尚行きたくなるのは私が馬鹿だからだ。

まずは東京からムーンライトながらに乗って名古屋へ向かい、そこから関西本線を通しで行く。
大阪からは東海道・山陽本線で岡山へ。そして瀬戸大橋線で四国へ上陸し、土讃線・予土線で四国を横断。
その後は宇和島フェリーで九州へ上陸する。九州からは日豊本線を乗り通して鹿児島へ。
そして鹿児島中央から指宿枕崎線に乗って終点の枕崎へ向かう、というのが今回の主な行程となる。

ルートを決めたら、あとはその通りに行くだけだ。
天気は総じて悪い。西日本に行こうとすると、必ず天気がぐずつくのは気のせいか。
お盆真っ只中で混雑しそうだが、私はためらいなく家を出た。


ムーンライトながら [東京~名古屋]

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夜も賑わう東京駅のホームに、国鉄特急車の185系が停まっている。
今年から183・189系と代わり、新たにムーンライトながらで使われることになった。
この列車で、まずは一気に東海道を抜ける。

スーパーひたちの651系に次いで、185系は子供の頃何故か好きだった車両だ。
かっちりしたデザインと、緑色の斜めストライプが斬新に見えたのかもしれない。
今回乗るムーンライトは、前側4両が往年リバイバル色の編成になっていてちょっと嬉しい。


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23時10分、ムーンライトながらは定刻通り東京を発車した。
今回とった座席は進行方向右の窓側の席だ。

185系は特急以外への転用も想定してつくられた車両であり、窓は開閉可能なタイプになっている
そのため窓が完全固定されていないので、対向列車が通るたびに「ガタッ!」と鳴る。
これが思った以上にうるさく、今夜は深く眠れそうにない。
今後ムーンライトながらに乗るときは、対向列車側とは反対の座席をとった方が良さそうだ。


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列車は順当に進んでいるが、車掌さんは相変わらず忙しそう。車内は当然如く満席である。
「上りはもうないんか!」と、普通と間違って乗ってきたと思われる酔っ払いがデッキで騒いでいた。


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早朝5時20分、ムーンライトながらは名古屋に到着する。
ここ名古屋から、まずは20分後に出る亀山行きに乗車といこうか。


関西本線 [名古屋~亀山]

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「忘れ去られた幹線」といわれる関西本線は、今回初めての乗車となる。
歴史の長い路線だが、近鉄との競合負けや需要の少なさが原因で衰退の一途を辿った。
特に、単線非電化の亀山~加茂間は穴場のローカル線といった趣きを呈している。


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この区間の車窓は住宅街であまり興味はそそらないが、左右に併走する近鉄の線路が印象的だ。


関西本線 [亀山~加茂]


亀山からは非電化の区間となる。単行のディーゼルカーに乗って加茂まで向かう。
乗り継ぎ時間は僅か4分。列車を撮る時間などなく、すぐさま車内へ乗り込んだ。
僅かに設けられたクロスシートは一瞬で埋まり、やむなくロングシートに座った。


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亀山を出るとしばらく街中を行き、加太から次第に山の中へ入って峠越えとなる。
ここ加太~拓植間は加太越えといわれ、かつてD51が重連で挑んでいた難所だ。
しかし今は、単行の軽快気動車がエンジン音も控えめに軽々と上って行く。

拓植に着くと、向かい側の草津線ホームに見たことない色をした113系を見かける。
全身が、カエルみたいな緑色一色に塗りたくられている!
あれが噂に言う「ロクレンジャー計画」ってやつなのか、、、想像以上にダセえw
コストダウンまる見えの姿は違和感ありありである。


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伊賀鉄道と繋がる伊賀上野から先は木津川と並走し、車窓からは渓谷美を見ることができる。
路線名だと関西を代表する幹線を想像させるが、この区間に限っては完全にローカル線だ。


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やがて、列車は亀山から約1時間半で終点の加茂に到着した。
キハ120形は小ぶりで、いかにもレールバスといった趣きの車両だな。


関西本線(大和路快速) [加茂~大坂]

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加茂で、大阪環状線直通の大和路快速に乗り継ぐ。
ここから再び電化区間となり、大阪へ近付くごとに乗客が増える。
関西本線はこれで無事に完乗となるが、環状線に入ったところで列車が詰まり始めた。


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どうも同線内で信号点検があったらしい。
これはマズイぞー。次の大阪での乗り継ぎは僅か6分だ。
間に合わなきゃ、初日のプランは即破綻である。
各駅での乗り継ぎ時間が数分のみという、とにかく時間のズレに弱いデリケートなプランなのだ。

進むうち次第に遅れが出始め、列車は5分遅れで大阪に到着。
隣のホームに予定通りに乗る東海道線の列車が来ていたが、やはりといっていいか間に合わなかった。
一日目は乗り継ぎの余裕が一切ない鬼畜の行程にしたが、さすがに今回は無理があったか。
今日日暮れまでに高知へ行くには、土讃線内でワープが必要となってしまった。
まあ、これはしょうがない。


東海道/山陽本線 [大坂~岡山]

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大阪から新快速でかっとばし、姫路と相生で列車を乗り換えてから昼過ぎに岡山へ到着。
関西まで来ると体感温度が違うというか、むわっとくる暑さにバテそうになる。
列車を待つ間、炭酸ジュースを飲んで一息入れた。


瀬戸大橋線(快速マリンライナー) [岡山~坂出]

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岡山からは瀬戸大橋線の快速マリンライナーに乗る。
鉄道で四国へ上陸する唯一の手段であり、もう既に何回もお世話になった。

それにしても今日は混んでんなー。ホームはお盆の帰省客でごった返している。
マリンライナーの自由席は大混雑。座席には座れないのでドア脇で立ってやり過ごす。
子供やお年寄りが多いので、大学生が進んで座るのはご法度である。
体力はまだまだ余裕っ!


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瀬戸大橋は列記とした吊り橋(一部)で、重い列車が通ると線路がたわむという。
開通前には電気機関車を9両繋げて走らせ荷重試験が行われた。
その映像はYoutube(こちら)でも見ることができる。

ちょうど昼過ぎなのか、観光アナウンスもされるようだ。

「では、しばらく不動大橋からの風光明媚な景色をお楽しみ下さい」
「あれ、不動大橋って何?瀬戸大橋じゃないの?」


車掌さん、肝心なとこで言い間違えたな、、、
車内がざわめいてるから自分の聞き間違えではないはず。
調べてみると、不動大橋は群馬の吾妻線水没地区に架かる橋だった。
瀬戸大橋と全然関係ないじゃん(笑)


予讃線(快速サンポート) [坂出~多度津]

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四国に上陸した。
四国の地に来ると何だかホッとする。
時間の流れが緩やかな気がするし、とりわけ四国の人々に温かみを感じる。

坂出で予讃線の快速サンポートに乗り換え、土讃線と接続する多度津へ。
さっき乗り継げなかった分、ここから少しワープして時間を短縮しなければならない。


土讃線(南風13号) [多度津~阿波池田]


土讃線は山岳路線であり、琴平から先は険しい山間部を進んで行くことになる。
多度津到着後、ほどなくやってきた特急南風に乗り込む。
とりあえず、阿波池田までワープだ!


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四国の交通要衝の一つである阿波池田で降り、ホッとひと段落。
なかなか雰囲気のある駅だ。ここから東には徳島線が延びている。
あとは30分後に出る高知行きの鈍行に乗れば、一日目の行程は無事に終了となる。


土讃線 [阿波池田~高知]

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日がじりじりと照りつけ始めた。
阿波池田からはより山深いところを進んで行く。
何でこんなとこに線路を敷いたのか?と思いたくなるほど、車窓は圧巻の連続である。


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天気はまずまず良いが、雲が多く日が出たり出なかったりを繰り返す。

若い乗客がトイレの前で困っている。どうやら車内トイレが壊れたらしい。
これからは駅のトイレを使用して下さい、と運転士は告げた。


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途中、豊永駅で特急通過待ちのため長時間停車する。
特急待ちの停車中、列車の外に出て一息つけるのも鈍行旅の魅力の一つだ。

豊永を出てしばらくすると、先週の台風の影響で土砂が崩れていた場所を通過する。
土讃線の大歩危~大杉間は昨日まで運休になっていたのだが、今日ギリギリで運転が再開されたから内心ヒヤヒヤしてたのだ。


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繁藤から高知までは延々と山道を下って行く。
新改駅にはスイッチバックがあり、列車は引込み線に入ってから逆方向に進んでホームに入線。
坂を下り続け山間部を抜けると街の中に入り、乗客がドッと増えて間もなく高知となる。


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やがて、18時過ぎに列車は終点の高知に到着した。
近くで花火大会が行われており、駅前はとても賑やかである。
駅入口前には路面電車の停留所もあり、個人的にはとても印象に残る風景だ。
一日目はここ高知で一泊となる。

初日はほぼ予定通りに来れたが、これから天気が悪くなるらしく少し心配だ。
何より大事なのは、極力無理をせずに宿でしっかり休むこと
体調を崩すとどうにもならなくなる。時間に余裕のない鈍行旅ならそれはなおさらだ。
お盆の混雑で立ち時間が多く思った以上に疲れがたまったので、宿に入ったら迷わずすぐに就寝した。


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