札幌市営地下鉄の異端児

[2013/5/22]


僕の生まれ故郷の札幌には、ゴムタイヤ式地下鉄という珍しい運行方式の地下鉄があります。
幼少時代は札幌に住んでいたので、家族と市の中心部へ出かけるときによく利用していました。
最寄りの南北線は開業から既に40年経っていて、地下鉄としてはかなり古くからある路線です。


札幌市営地下鉄南北線

083 札幌市交通局・函館市交通局 1992年

「90年代当時の南北線の貴重映像」


札幌市営地下鉄南北線の車両は、現在の主力車両5000形の他に、開業当時から活躍した2000形と後の延伸開業と合わせて登場した3000形があります。
増備目的で製造された3000形は僅か5編成しか存在せず、レアな車両として知られていました。

しかし当時家族と地下鉄に乗って大通やすすきのへ行くとき、やってくるのは主力の2000形ではなく、何故かこのレア種の3000形ばかりでした。(特に麻生行きは決まって3000形だった)
左右非対称のイカつい顔つきと豪快なモーター音が特徴で、2000形や後の主力5000形と比べて異形の存在感があり、物心ついてない頃の自分に強烈なインパクトを残しました。

そうして奇しくも自分と縁が深かった異端児3000形ですが、2012年3月に引退となったようです。


南北線3000形

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[2009/8/28]


最後に家族揃って札幌に帰省したのは2009年の夏。
その帰省の最終日、僕は南北線を訪れ元々数少ない3000形を狙いにいきました。
子供の頃やたら乗車機会が多く、未だ脳裏に焼き付いてるこの電車が実はレアな車両だったと知り、新型車両へ入れ替わる前に記念乗車しておきたかったのです。

ホームで待ち続けること数十分、結局主流の5000形しかやってこないので諦めかけていたところ、あの「緑色の乗車位置の放送」が流れ始めました。


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「次の一番ホーム、真駒内行きにお乗りの方は、緑色の乗車位置でお待ちください」


沿線に住んでいる方は間違いなく聞いたことがあるはず。
放送が流れると皆そそくさそうに立ち位置を変える、あの乗車位置の放送です。
確か5000形がデビューしたばかりの頃は「青色の乗車位置の放送」もありました。

数分後、待ちに待った3000形が入線してきました。
幼少期の自分は2000形の方が好きだったので、3000形が来る度に心の中で地団駄踏んでた記憶があります。
「今日も好きじゃない方が来たよ」「なんでまたアイツが来るんだよ」みたいな感じでw
それが今は嬉しいんですから、時の流れって不思議です。


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当時既に東西線にはホームドアが設置されていたので、そのうちすぐに南北線にもホームドアが設置されるのではないかという予測がありました。
新型5000形とドア位置が異なる3000形は近いうちに淘汰され、3000形を拝めるのはこれで最後になるだろうと。

それで思わず、真駒内駅で写真を撮りました。記録には記事上にUPした5枚しか残っていません。
結局この時を最後にして、3000形は見納めとなってしまいました。
もっと撮っとけばよかったと、今になって後悔しています。


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クラシカルな塗装、大型の車体、独特の連接構造、タイヤハウス、凝った柄の化粧板。
網棚のない車内、六角形の貫通路、冷房代わりの風鈴、各編成ごとに異なるブザーの音。
もう何から何まで個性の塊のような札幌の地下鉄車両ですが、これらの特徴は主に旧型車両においてのものです。
ただ一部の意匠は新型の5000形や8000形にも受け継がれており、強烈な個性は相変わらず健在しています。

2000形/6000形に始まり、3000形は札幌市営地下鉄らしさを濃厚に残す最後の車両形式だったと思います。
あと昔の雰囲気が残るのは、東豊線の7000形ぐらいでしょうか。


札幌市交通局3000形走行音 電機子チョッパ制御

「札幌市交通局3000形 走行音」


3000形の面白いところは、他の車両と比べてモーターの音が桁違いに大きいことでした。
かなりの爆音で、子供の頃は3000形がやって来るとビクビクしていたのを覚えてます。
(古巣の2000形や東西線/東豊線の車両より明らかに音がデカかった)
普通の電車でいう「吊り掛け」に近い感じの野太い音で、威圧感が凄いです。

発車時の重低音と加速時の甲高い唸りが、僕は昔から好きでたまりませんでした。


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去年の3月に引退した3000形。
引退セレモニーは大盛況だったらしいです。
2008年に引退した東西線の6000形と比べ、3000形は知る人ぞ知るような存在でしたが、意外に好きな人が多かったのかもしれませんね。


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