「大都会の中のローカル線2」
[2014/3/4]
たった4駅にして僅か7分で完乗できてしまう南武支線は、本線の尻手から浜川崎の間4.1kmを結ぶミニ路線だ。
都会真っ只中にしてはローカル要素満載なこの路線に、夕方ちょっとしたプチ旅気分で行ってみることにした。
山手線の品川から横須賀線に乗り、南武線と接続する武蔵小杉に到着。
列車を降りると皆こぞって小走りになるのでつられて走る。南武線の乗り場は遠いらしい。
長い長い連絡通路を5分ぐらい辿ると、何処か懐かしい佇まいの南武線ホームに到達した。
南武線 [武蔵小杉~尻手]
南武線・南武支線とも乗車するのは今日が初めてだ。
武蔵野線と同じく、車両は他線のお下がりが使われている。
万能通勤電車205系がたまたま対向ホームに来ていた希少車209系とすれ違う。
武蔵小杉から川崎行きの電車に乗って、まずは南武支線の起点となる尻手へ。
約10分で5駅隣の尻手に到着。ここから延びている南武支線に乗って終点の浜川崎へ向かう。
南武支線 [尻手~浜川崎]
南武支線は2両編成のワンマン列車で運行されている。ラインカラーも本線とは異なるらしい。
かつては国電101系が最後まで残っていたことで有名だったが、2003年に引退済み。
後継を担っているのはワンマン改造が施された205系だ。
京浜工業地帯の一角を走るこの小さな路線。
朝夕は沿線にある会社の通勤客で混雑するみたいだが、需要のない日中は本数が極端に少ない。
その独特の運行形態は鶴見線と似ているが、南武支線は車掌がいないワンマン運転な上に線路も鶴見線ほど入り組んでいない。
1本の列車が4駅間の短い単線を行ったり来たりしているだけなのだ。
尻手を出ると列車はすぐに東海道本線の線路を跨ぎ、京急と接続する八丁畷へ。
閑散とした住宅地の中を進み、川崎新町を出ると長閑な工業地帯の中へ入り終点の浜川崎に到着した。
浜川崎駅
僅か7分で完乗してしまうのは呆気ないが、終点に近づくほど時間が逆行していくような車窓が面白かった。
駅周りは無機質な工場が立ち並ぶ。年季の入った木造屋根は昭和の雰囲気そのまんまだ。
ホーム脇は貨物の線路群が広がっている。
一体何年放置されているのか、朽ちかけた保線用機関車が置かれていた。
浜川崎は南武支線と鶴見線が乗り入れているが、両者の駅は一本の道路を挟んで別れている。
どちらも無人駅なので、乗り換えるときは簡易Suica改札機をスルーすればそれでOKらしい。
狭い鶴見線のホーム。
一般客がほとんど来ないところだからこれで十分なのだろう。
どうせならと思い、浜川崎から今度は鶴見線に乗車し終着駅の一つである扇町へ。
真ん前が大海原の海芝浦と比べると観光要素は皆無だが、猫が住んでいる駅として人気があるらしい。
これで鶴見線の終着駅を二つ制覇したことになる。
しかし日が暮れたので、残る大川駅は諦めて早々に帰路へ着いた。
鶴見線ほどのインパクトはないが、南武支線も他を圧倒する非日常ぶりを醸し出している。
これもまた大都会の中のローカル線。
終点に近づく度に、架線柱の錆付きが激しくなっていくのが何ともいえなかった。