浮島町の工場夜景

「工場夜景スナップ探索 “圧倒的なスケールで迫る浮島町エリア”」

[2016/2/13]


「工場萌え」なんて言葉が浸透して、世に工場ブームを引き起こしたのは何年も前のこと。
今更な感もあるが、ちょっと興味あったので行ってみることにした。


工場萌えとは(以下略)

「工場萌えの発端となったらしい写真集(2007年発売)」


2000年代後半、一部層で大ブームを起こした工場萌え。
配管の絡み具合やコンビナートの煙、近未来的な構造美など、
非日常めいた景観の虜になった人がネットを通じて増加し続けているという。

少し前まで工場の景観はタブー視されていたが、近年は観光資源としてスポットが当てられ始めた。
特に幻想的な工場夜景はマニアだけでなく一般層でも人気が出てきており、
最近のインスタブームもあって観光ツアーが盛んに組まれている。



意外にもこの趣味、女性が多いと聞く。
そういや、大学の写真サークルの知り合いも工場萌えで「FF7っぽい感じが好き」って言ってた。
FF7かぁ……俺はFF7どころかナンバリングのFFを一度もやったことがない。
FFタクティクスだけ好きで高校時代徹夜でやりこんでたけど、あれはナンバリングとは全く違う世界観だしなw

本題。百聞は一見に如かずということで、実際に見に行ってみよう。
画像のクオリティは期待しないで下さいまし。全て手持ちコンデジ一発撮りでございやす。


川崎駅

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常磐線で東京入りし、上野東京ラインの直通電車に乗って川崎へやってきた。
駅前は通勤客で溢れかえっていて、工業都市というよりはベッドタウン的な様相だ。
東口へ出る真上のところに巨大スクリーンがあって、工場夜景クルーズの宣伝が流れている。

夜景クルーズなんて優雅でリア充めいたものは自分の性に合わない。
ということで私は、路線バスと徒歩で地に足付いた探索をすることにした。
川崎の工場夜景スポットは幾つかあるが、今日は人気の高い浮島町へ向かう!


臨港バス (川03系統)

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埋立地の浮島町へ行くには、臨港バスの川03系統「浮島バスターミナル行き」に乗ればいい。
平日・休日ともに本数が多いので、容易に乗り継ぎ可。時刻表見ずとも待ってればすぐに来る。
復路の最終バスは22時台なので、夜遅くまで探索が可能だ。

京急の高架下にある川崎駅東口バスターミナルは、計20の乗り場があるようだ。
16番乗り場で並んで待つこと5分くらいして、浮島バスターミナル行きがやってくる。
新参者には手厳しい前払い式で、もたもたしてると冷笑必至。無難にICカードで乗り込む。

15人ほどの地元客と私一人を乗せて、バスは川崎駅を出た。



駅前通りを抜けると次第に殺風景な風景に変わり、世紀末っぽくなってくる。
川崎といえば「世紀末」「警察24時」のイメージしかない。完全に偏見だ。
首都高下の国道へ入り運河を渡ると、辺りは工場一色に。本当に、工場しかない。
車内の全てを占めるのは、恐らく工場の従業員。雰囲気は鶴見線のソレとそっくりだ。

バスのアナウンスがネット上の表記と違ったらしい。気づけば最寄のバス停「NUC川崎工業所前」を過ぎていた。
すかさず降車ボタンを押して、次のバス停「浮島町十番地」で降りる。


浮島町十番地

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バスを降りると、辺りは完全に工業地帯真っ只中。ここが浮島町……!
羽田空港の隣の地である。

国道の真上には首都高が通っていて、巨大な高架が何処までも続いている。
バス停降りた時点で非日常臭が凄い。殺伐としたこの地で聞こえてくるのは、
稼動する工場の重低音と、首都高を走る車の音と、羽田を離着陸する飛行機の轟音……!



バス停を出発して道路の向かい側へ渡ると、得体の知れない一本の線路が工場脇から延びていた。
コレは何だ?廃線か?恐らく貨物の線路か何かだと思うのだが……??
(↑フリじゃなくて探索当時は本当にわかりませんでした)

貨物はさっぱしわからない自分(´・ω・`)
取り敢えず夜景スポットへ至る道の分岐へ向かうため、交通量の多い国道をひた歩く。


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謎の線路の後方に早くも現れた、浮島町の工場群。工場夜景を見るのは初めてだ。
見た瞬間「おおおなにこれぇぇぇ……!」と唸ってしまう。
既に萌えちゃってるよ、俺。

工場の敷地内には一切入ることが出来ないが、逆にコレが工場夜景を聖域化させているようだ。
何人にも侵されざる聖なる領域。いや普通にリアルに入れない領域だから。捕まるから。


浮島町駅


廃線じゃないか?と思ってたのに、道路と線路の分岐に立っていたのは「浮島町駅」と書かれた駅名票だ。
周りは線路以外何もなく、駅というよりはただの分岐点に見える。
貨物の駅ってどれもこんな感じなのか??



駅名標を撮影した後、横の踏切を渡って浮島の奥地へのびる脇道へ入った。


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奥へ延びる脇道は地図だと短いように見えるが距離は結構あって、国道の分岐からでも約1kmある。
道は巨大な工場に挟まれており、一般人が来るところじゃない臭いをムンムン醸し出していて、
工場から排出される独特の臭気と圧迫されるような重低音に支配されている。

ゴツイ工場高架の下、得体の知れない線路と道が並行して真っ直ぐ伸びている。
80年代SFアニメに出てきそうな非日常ワールド。


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カメラの補正を無くして実際の明るさで撮ると、この通り、道そのものは真っ暗である。
しかも街灯の類が一切無いので、女性が徒歩で来るには激しく厳しい。
男一匹ならなんてこたねえさ。ズカズカと歩いていく。


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奥に行けば行くほど工場独特の臭いが強まってきて、ずっといると体が侵されそうな感覚だ。
観光地でも何でもない場所なので、常に一定の緊張感を強いられているんだ!
迷惑をかけないよう、撮影はひっそりと慎重に行うのが原則だ。

目的の物件には確実に近づいているようで、右手に巨大な工場が見えてきた。
コンデジに収めるにはちょっともったいない夜景スポットに行き着く。


東燃ゼネラル石油工場

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グォォォォオオオオオオオオオオ……!


絡みつく配管パイプに、ギラギラ輝くプラント、立ち上る怪しい煙。
この東燃ゼネラルの石油プラントが、浮島町で最も有名な夜景スポットだ。

圧倒的な存在感、非日常感、近未来感。距離が近いだけに興奮する。三感(視覚、聴覚、嗅覚)で味あえるよ。
平日でも夜景目当ての人が多く来訪すると聞いたが、今は人っ子一人いない。
私一人だけ突っ立って工場を撮っている。


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ここは一般人が来れる浮島町の最奥。360度全部工場で、全て稼動してるから色んな音が聞こえてくる。
「ガションガション」とか「ボッ!」とか「シュォォオオオオ」とか「グオォングオォン」とか、
この光景をジョジョにすると、擬音で埋め尽くされて何も見えなくなりそう。

眺めるだけなら楽しいが、コンデジの手持ち撮影では無理があったらしい。
じっと構えて撮り続け、かろうじてブレずに撮れた画像を確保した。


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石油工場の向かい側には、日本合成アルコール工場内へ続く道路が延びている。
これはこれで、なんともいえない非日常風景。
広大なスケールで迫ってくるぞ。

気の向くまで鑑賞した後、元来た道を戻って国道へ帰還した。



国道と脇道の分岐から、今度は「未広町駅」と呼ばれる駅??へ行ってみることに。
分岐点から北西700mほど歩くと、お目当てのスポットに行き着くようだ。



歩道を進むと脇の線路が分岐し始め、貨物のターミナルらしき拠点に到着する。
食い入るように眺めていると、遠くから踏切の音が聞こえてきた。
「えっ!?この線路って廃線じゃなかったのか!?」そう思索する暇も無く、
機関車牽引の貨物列車が、眼の前に姿を現す。


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な ん か き た!


何処からともなくやってきた、青いディーゼル機関車。
そもそも駅名標がある時点で気づくべきだった。

この線路は、浮島町から石油製品を運搬するための貨物路線だったのだ。


末広町駅

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神奈川臨海鉄道。名前だけは聞いたことがあるが、こんな場所で出くわすとは思わなかった。
後に下調べしたところによると、川崎と横浜を拠点に計4路線を持つ鉄道会社で、
京浜工業地帯の貨物を毎日運搬し続けているという。

今やってきたのは「クリーンかわさき号」という、廃棄物輸送の列車らしい。
武蔵野線の貨物駅を出て、浮島の工場まで遥々やってきた代物である。


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他ではなかなか見られない、貨物列車と工場夜景のコラボ。
というか、鉄道貨物ってゴミも運んでたんだ。
それ自体が意外な発見だった。



一連の作業を終えた後、貨物列車は間もなく末広町駅を発っていく。
もう少し寄り道しようと思ったが、列車が去るところで雨が降り出したため、断念。

末広町駅のすぐ横にあるバス停で臨港バスを待つ。見るモノは見たので今日は撤退しよう。


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末広町駅にも駅名標が立っている。線路の向こうに広がるのは、東燃ゼネラル石油の工場群。
この風景がFF7に出てくるソレなのだろか??今度、中古で買ってプレイしてみるか。
列車が去ってから10分後、臨港バスが到着。その後はすぐ帰路へ。

・アクセス所要時間:川崎駅からバスで20~30分ぐらい
・バス運賃:210円均一(ICカードは206円均一)


ダイナミックなスケールで迫ってきた浮島町の工場夜景。ディープ&コアだけど、面白かったので再訪決定。
「どうせなら本格的に工場夜景を撮ったる!」何時の間にか目的が食い違っていた私は、
後に簡易型の三脚を買い、GRDの操作を叩き込んでリベンジを図る。

浮島町の隣、千鳥町へ。一ヵ月後、私は夜の川崎へ再び足を向けた。(続きは何時かまた次回!)


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