[2014/11/29]
というわけで読んでみました!当時話題沸騰だった「鉄子の旅」。
今更感ありますが……ささっとレビューしてみようと思います。
鉄子の旅
前々から興味あったんだけど、当時は何故か素通りしていたこの漫画。
実際買って読んでみた感想は「やっぱり面白かった!」。
鉄でない方も一度読んでみる価値あると思います。
女性漫画家の菊池直恵さんが、全国全駅を制覇した鉄オタである横見裕彦氏と、「鉄」一辺倒のオタク旅に振り回されるノンフィクション鉄道漫画。
本編は第六巻で完結。アニメ化もされています。
多少のネタバレ含みながら、乗り鉄の視点で率直な感想を述べていこうと思います。
横見さんの激しいリアクションが面白い
全国全駅を制覇した究極の鉄道オタク、横見裕彦氏がこの漫画の案内役です。
現実に実在する御方であり、なんでもトラベルライターをやっているらしい。
普通のオタクも圧倒する強烈なリアクションで仲間を牽引していきます。
横見さんは一般の人生からかけ離れた「俺の道」を地で行く人です。
突き抜けたキャラクターとはいえ、鉄なら何処かしらで横見さんに共感できるのではないでしょうか。
飯よりも乗り継ぎを優先させるとか、古い駅舎が好きだとか、ブラインド下ろしたくないとか……w
しかしノンフィクションとはいえ、40代だとなかなかいないよなーこういう人は。
普通の「鉄」でも引いてしまうほど濃い内容
私も相当ストイックなことやってきましたが、自分が見ても引いてしまうネタが沢山出てきます。
一つの路線を上下線目一杯使って全駅下車しようとしたり、北海道の板切れ駅を全て回ろうとしたり、
毎日夜行列車で夜を明かしたり、吹雪の日に豪雪路線(←只見線)に乗りに行くなど……。
どうも横見さんは、駅の下車に尋常じゃない拘りがあるようですね。
「オタク」と呼ばれたくない人たち
鉄オタなら随所でニヤニヤしてしまうネタに思わず笑ってしまいました。
しかし、鉄としては「オタク」と呼ばれたくないわけですよ。
一般の人にはただのオタク扱いされてしまう無常感ね……。
この漫画でも「俺はオタクじゃない!」と切実に主張する摸写がわんさか出てきますw
「鉄子」自身が旅をするわけではなかった
タイトルが「鉄子の旅」だから、私は当初その内容を勘違いしてました。
漫画のタイトルを都合よく解釈した上で、
「鉄道趣味に理解をもった可愛い女の子が鉄道旅をする」
といった”素敵な内容”だと考えてました。ホント都合よすぎの解釈w
しかし実際は鉄オタの異質な生態を描いた内容で、「鉄」の偏った世界に対し菊池さんが突っ込みを入れていきます。
あくまで「鉄オタ×一般人」が生み出す確執と不条理がこの漫画の魅力です。
「レールクイーン」とは何ぞや
「レールクイーン」という存在はともかく、私は旅中で鉄道好きの女性を少し見かけたことがあります。
SLを撮影していたり、18切符ガイドを読んでいたり、列車の真ん前でかぶりつきをしてたりしました。
しかし鉄道含めた「旅」を楽しんでる人が大多数で、根っから鉄道好きの女性なんてまずいません。
仮にも眞鍋か○りが「あっボックスシートの115系が来たわっ!」なんて言わねえよ、絶対w
廃止/消滅済の列車や路線が登場する
本作の舞台は00年代前半で、今では見られない列車や路線が沢山取り上げられています。
今年廃止された岩泉線や、同じく廃止済のくりはら田園鉄道、高千穂鉄道を初め、上野発の夜行急行「能登」、寝台特急「彗星」、山陽本線の夜行快速「ムーンライト山陽」など……
現存していれば、自分が必ず乗っていただろう列車がわんさか出てくる!
私は夜行列車をふんだんに使った旅をやってみたかったのですが、それはもうできないのが現状です。
現存する夜行快速は「ムーンライトながら・信州」のみ(えちごは今年夏に消滅か!?)。
横見さんや菊池さん達が羨ましい。00年代は昔ながらの夜行が多く残ってたんだな。
菊池さんのツンデレぶりが可愛いw
率直に、一般人としての菊池さんの反応が面白いです。
見た感じ完全に「ツンデレ」で、第一巻はその傾向が強い。
常に受け付けない一方で、ときどきデレてます。
あとこれはツンデレ関係ない話なんですが、菊池さんは作画がしっかりしてると思います。
列車や駅舎が綿密に描かれているから、鉄道資料としての価値もあるのではないでしょうか。
まとめ
賛否両論あると思いますが、個人的にはこの漫画文句なしに面白かったです。
ただ、これで「横見さん=鉄道ファン」みたいな偏った構図が出来そうでちょっと怖いw
現代の鉄道ファンって、見た感じ割と普通な人が多い(稀にイケメンもいる)し、
横見さんみたいにぶっ飛んだ鉄人生を送れるのは世の中ごく少数でしょうからね。
第六巻まで出てますが、一番インパクト高かったのはやっぱり一巻かな!
「鉄」だけどまだ読んだことない方は、書店やブック○フで試しに手にとってみては如何でしょうか。