箱根旧街道を歩く

「箱根フリーパスの旅 3/4 (元箱根~甘酒茶屋~畑宿)」

[2013年6月3日]


箱根旧街道は旧東海道の一部で、江戸時代に徳川幕府の命によって整備された街道だ。

当時、東海道唯一の難所とされた箱根峠。
道中は雨が降るとすぐにドロドロになっていたため、当初は道に竹を敷いてそれを防いでいたが、竹はすぐに腐ってしまうので常に維持費がかかった。
そこで幕府は対策として、莫大な公金を使い道に石を敷き詰めて改修した。
その石畳の道が、今も一部だけ残っているのだという。


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元箱根港で海賊船を降りて、すぐそばで昼食をとり早速箱根旧街道へ向かう。
、、、はずだったのだが、全く下調べしてなかったので最初の入口がどこにあるのかわからない。


箱根旧街道


旧街道は県道732号と重なる形で一部が消失している。
なので県道を歩いていけばそのうち入口は見えてくるのではと思って、まず県道732号線を下っていくことに。
しかし、これはあからさまな勘違いであった。


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狭い車道を息切らしながら歩いていくのだが、旧街道の入口らしきものは全く見えてこない。
恐らく入口はもっと手前にあったのだろう。
自分が入口を見逃したか、入口と鉢合う道を通らなかったか、そのどちらかだ。
携帯で現在位置を調べることもできるが、今更そんなことしていると旅情に欠けるので、次の旧街道が交わる地点まで潔く先を進んでいった。


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しばらくすると、左に大きな水溜りが見えてきた。


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どうも、この池は「お玉ヶ池」というらしい。
案内看板には、江戸時代にお玉という少女が関所破りで捕まり処刑され、
その首をこの池で洗ったことが名前の由来だと記されている。



お玉ヶ池のすぐ先でやっと、県道と旧街道の中間合流地点があった。
やっぱり、旧街道入口はもっと手前にあったのだ。
入口まで戻りたくなるが、もう既に相当な距離を歩いてきたので戻るわけにもいかない。
ということで、やむなくそこから箱根旧街道へ入った。


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旧街道へ入ると、早々に通行人を見かける。
旧街道入口はどこだったか聞いてみると、元箱根港からすぐのところだという。
ふーん、なるほど、入口近くは杉並木が圧倒的だったと、、、

もう完全に“やっちゃった感”満載だが、こればっかりはしょうがない。
つまらぬ邪念を取り払ってから先へと進んだ。


石畳

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そうして道を少し進んだところですぐに、例の石畳に遭遇した。
石畳の道は思いのほかゴツゴツしていて、急坂になるとかなり足を取られる。
昔の旅人はこうして一歩一歩道を踏みしめていったのかと、想像以上にきつい道のりに息を切らしながらしみじみそう思った。


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道中、旧街道に沿って「甘酒茶屋」という茅葺屋根の茶屋が一軒あった。
何と江戸時代から続く老舗の店で、箱根に唯一残った伝統の茶屋らしい。


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甘酒が名物ということで、早速注文した。甘酒を飲むのは初めてである。
飲んでみると、本当に素朴で柔らかい甘みが口の中いっぱいに広がる。
麹を発酵させて得られるものらしく、砂糖やアルコールは一切入ってないらしい。
昔の旅人も、こうして道中の茶屋で甘酒を飲んで一服したのだという。


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美味かったので、あっという間に飲み干してしまった。
賑わっている店内を後にし、再び旧街道を行く。


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鬱蒼とした新緑の中を、苔むした石畳の道が続く。


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雨が降ると石と石の間に水が染みこみ、脇にある排水スペースへ流れていくという仕組みらしい。 


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旧街道は県道とほぼ平行して進むため、常に車の音が聞こえるのが少し残念。
しかし、当時の遺構がそのまま残っているので雰囲気は満点だ。


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石畳の道を進んでしばらくしたところで、左脇に急な階段があった。
登ってみると、そこはちょっとした展望台になっていた。


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旅人気分を味わいながら、延々と道を下っていく。


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昔の人は皆健脚だったのだろう、下り坂の連続に僕は足が笑い始めていた。


畑宿

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やがてきつい下り坂が終わると、一旦道が開けたところに出た。
畑宿といわれる昔の休憩所とされていた宿場で、元箱根から箱根湯本までのちょうど中間に位置している。
道入口の両端にこんもりと盛り上がっているのは一里塚と呼ばれるもので、江戸時代において旅人の道しるべとされていたものらしい。



畑宿から先の箱根湯本までの区間、旧街道は県道に吸収されている部分が多くなる。
なので道中の多くは車道になるので、あまり面白みがないと思った。
そこで地図を見てみると、畑宿から北西の山あいの中に滝がある。
滝の名を「飛竜の滝」。滝まで林道が整備されているらしく、割と容易に辿りつける場所のようだ。


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このまま旧街道を下り箱根湯本まで行くつもりだったが、急遽予定を変更し、
ここ畑宿から山あいの林道へ入り飛竜の滝へ向かうことに。
林道自体は滝の先も続いており、山の反対側の道路まで行けるようだ。
そこからはフリーパスを使って路線バスに乗り、箱根登山鉄道の駅まで戻ろうと思う。

時間に余裕があったがろくに休憩も取らず、僕はおよそ人気のなさそうな鬱蒼とした山の中へ突入した。


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