高山本線の旅

「北アルプス横断旅 4/4 (富山~猪谷~高山~美濃太田~岐阜~名古屋~東京)」

[2015/8/6]


朝6時半、目覚ましで起床した私は朝食を食した後、ホテルをチェックアウトした。
今日乗るのは高山本線だ。高山本線の道のりは長く、鈍行だと5時間以上かかる。

最寄の電停から市電に乗って、まずは富山駅へ向かった。


高山本線


高山本線は中部の山間部を貫き、富山と岐阜を結ぶ全長225.8kmの山岳路線だ。
全線非電化であり、ほぼ全区間で一級河川に沿って走る風光明媚なローカル線である。
昔は名鉄直通の特急や急行も走ってたらしいが、現在走っている列車は鈍行と特急「ひだ」のみだ。

高山本線を全線走りきる鈍行は存在せず、富山~猪谷間は西日本、猪谷~岐阜間は東海の管轄となっている。
時刻表を見るとこの路線は日中の鈍行の乗り継ぎが限りなく不便で、特に山間部の猪谷~美濃太田間は、
午前中の列車を逃すと4~5時間近く先へ行けなくなってしまうという(汗)、乗り鉄泣かせの路線であった。

私が乗り継ぐパターンだと特に不便はなかったが、そのまま通しで行ってしまうのは面白くないので、
今回は高山から濃飛バスに乗って白川郷へ行ってみることにした。白川郷は言わずと知れた世界遺産である。
朝8時に富山を出発し、夕方18時に岐阜へ到着する行程。岐阜からは何時も通り東海道で帰路を辿る予定だ。


高山本線 [富山~猪谷]

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高山本線の旅の最初を飾るのは8時14分発の猪谷行き鈍行だ。
二両編成の気動車である。車両はキハ120。国鉄車の代替として西日本が導入した小型気動車だ。
まだ通勤時間帯なので車内は満杯状態。
まずはこの列車に乗って、西日本区間と東海区間の境目となる猪谷を目指そう。

8時14分、猪谷行きは定刻通り富山を出る。出発してしばらくは市街地の中を進む。
さすが北アルプスの近くだけあって水源は豊かで、小さな川を何度も渡っていく。
婦中鵜坂で通勤客がドッと降りたので、取り敢えずロングシートを確保した。


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水源豊かな田園を走り、越中八尾を過ぎると次第に山の中へ入っていく。
東八尾を過ぎてトンネルを抜けたところで、高山本線の車窓は化けた。
これから終点まで4時間近く運命をともにする一級河川群(神通川→宮川→飛騨川→木曽川)との合流である。

トンネルを抜けると現れる神通川は、ドラマティックな瞬間といえよう。
笹津を過ぎると山がどんどん深くなってきて、山岳路線の様相を呈してきた。


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「これが、高山本線クオリティなのか………!」


起点から一時間も経ってないのに、この山々の深きこと深きこと。
山の中へ入っていくうち高度はグングン上がり、左手には谷間の風景が広がる。
「化けるぞ………!」この路線想像以上に化けるぞと、ガラガラになった車内で一人呟いた。


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9時05分、終点の猪谷へ到着。西日本と東海の管轄の境となる駅だ。
猪谷は神岡鉄道が乗り入れていた名残か、駅構内は広い。
しかし、今はJRの小型気動車がポツンと停まっているのみだ。

次乗るのは9時11分発の高山行き鈍行だ。間髪入れずの乗り換えとなる。


高山本線 [猪谷~高山]

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猪谷駅2番線に停まっていた高山行き鈍行は、先程と同じく二両編成の気動車であった。
この区間は数ヶ月前まで国鉄気動車が走っていたが、残念ながら撤退済。
代わりに投入されたのは東海の新型車キハ25だ。

現状、高山本線に投入されたキハ25は、ロングシート車とクロスシート車が混在してるらしいが、
今から乗る車両は鬼畜のオールロングシート。風光明媚な高山本線でこの仕様は最悪だ。
これで高山から先もずっとオールロングだったらマジで鬼畜だなぁ。やだなぁー。

クロスシート車が来るかロングシート車が来るかは現時点で全くわからない状態であり、
今回はハズレくじをひいてしまったわけだ。残念!


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乗り継ぎ客が乗り込んだところで、高山行きは定刻通り発車する。
既に深い山の中で人家も皆無。猪谷から先で並行するのは宮川だ。
列車は宮川と何度も交差しながら走っていく。



山が深くトンネルが多いが、絶景ポイントが多く点在していて飽きない。
カーブが多いのにも関わらず、列車はそれなりにスピードを出して谷間を駆け抜ける。


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岐阜へ入りしばらく閑散地帯を進んでいくと、宮川はダム湖に変わった。
坂上のダム湖を過ぎると一旦山間部を出て、人家が多くなってきたところで飛騨古川へ。
ここで数分停車した後、山間の平地をひた走って高山盆地へ入る。

人家ひしめく市街地へ入ると、列車は終点の高山へ到着した。
高山は飛騨の観光拠点だ。一旦鉄旅を休止し、バスに乗って白川郷へ向かおう。


濃飛バス白川郷線 [高山濃飛バスセンター~白川郷]

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濃飛バスのターミナルは駅を出てすぐのところにあった。次に出る白川郷行きの特急バスは10時50分発。
往復切符を買って乗り場で待っていると、何時の間にか行列が出来始めた。
さすが世界遺産!人気度はなかなかのものだ。

バスが到着すると程なく満杯となり、補助席まで使う事態となった。
白川郷行きのバスは高山駅を出ると市街を脱し、高山清見道路に入る。
トンネルを何度も潜り抜け、高度が上がってくると深い山間部を抜けていく。


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有料道路からは高速に入り、あっという間に白川郷へ到着。
観光案内所でマップを確認した後、川を渡って合掌造りの民家群へ向かった。


白川郷

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岐阜の奥地にある白川郷は、本物の合掌造りの集落が残る秘境地帯である。
白川郷へ来るのは初めてだ。
何時から人が住んでいたのかは定かではないらしいが、文献に残ってるものとしては奈良時代が最も古いようだ。

白川郷の代名詞となっているのが、分厚い茅葺きの屋根が特徴の合掌造りである。
合掌造りという建築様式が誕生したのは、江戸時代中頃であるとの推測があるらしい。


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民家の中を進んでいくと、里を見下ろせる展望台に行き着いた。
こうして見下ろしてみると、白川郷は思った以上に小規模だ。
外国人が多く、寧ろ日本人よりも多いぐらいで、世界遺産の人気振りが伺える。

主要箇所を回った後、探索時間が限られていたのでバス停に戻った。


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ボヤボヤしてるうちにバス停に行列ができていたので、やむなく最後尾に並ぶとバスが到着。
一台分ギリギリの乗客が詰め込まれ、私は補助席の世話になった。
両隣にアジア人ヨーロッパ人が座っている。なんだこの珍体験。
「すいませーん」とか言いながら補助席に座ると、彼らはにこやかに笑った。

うつらうつらするうちにバスは高山へ帰還。高山からは再び高山本線に乗って南下する!


高山本線 [高山~美濃太田]

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14時48分発の美濃太田行き鈍行は4両編成で、前側二両がクロスシート後側二両がロングシートになっている。
隣から出る14時39分発の特急「ひだ」を尻目に悠々と佇む姿が、のんびりとした鈍行妙味を掻き立てる。
終点まで約2時間20分走り抜くこの列車に、さすがに鬼畜のオールロングはないんじゃねえかと思っていたら、案の定願いが叶ってクロスシートにありつくことができた。良かった、良かった!

「アレ!?こっちにあるじゃん!前のやつの!」
「こっちの方がいいよねぇー、何で変わっちゃったんだろぉー……」


ほらっ東海。地元の女子高生も言ってるぞ、前の方が良かったと。以前のボックス席の方が良かったと。
数ヶ月前まで、14時48分発の美濃太田行きは全てボックスシートのキハ40だったに違いない。


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ロングだと地獄だが、クロスに無事当たれば至高のローカル旅が味わえる。
列車が出る前に駅で買った「飛騨牛しぐれ寿司」を食す。
飛騨牛を食すのは初めてだが、とろけるような味わいがありあっという間に完食してしまった。


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列車は高山を出ると市街を出て、間もなく深い山の中へ。飛騨一ノ宮で特急待ちのため数分停車。
飛騨一ノ宮を出ると左にグルッとカーブして坂を上り、長大トンネルへ突入する。
一級河川と何度も交差するので、絶景ポイントは多い。



飛騨小坂を過ぎると、これまで並行してきた飛騨川が大河のような趣に。
飛騨萩原で学生がドッと乗ってきた。
観光拠点の下呂(げろ)で、さらに乗客が入れ替わる。


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白川口を出ると、飛騨川の表情が一変しゴツゴツした岩肌が現れた。


飛水峡だ。長年の濁流によって形成された岩盤地帯で、白川口~上麻生間で拝むことができる。
岩盤のすぐそばを走るので車窓は素晴らしい。しかし写真に収めるのは難しいようだ。
飛水峡の絶景区間を過ぎると住宅が多くなってきて、素朴な平野へ出た。


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飛騨の山間部を離れ、すっかり平坦になった美濃加茂の市街をひた走る。
太多線が合流すると、列車は終点の美濃太田へ到着した。

美濃太田からは、高山本線最後の列車として岐阜行き鈍行に乗り換える。


高山本線 [美濃太田~岐阜]

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美濃太田駅で待つこと10分強、17時27分発の岐阜行き鈍行がやってきた。
山間部が多い高山本線の中でも、美濃太田~岐阜間は市街地で列車の本数も多い。
車両はキハ75。ロングシート車が入り混じるキハ25と違い、座席は転換クロスシートになっている。

列車は美濃大田を出るとしばらく市街地を走るが、隣駅を過ぎたところで再び川沿いへ出た。
やっぱり、高山本線クオリティは伊達じゃなかった!


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ずーっとこんな車窓が展開する長大路線って、なかなかないと思うんだが。
木曽川の横をすり抜けると市街地に戻り、名鉄と並行して進む。

那加で乗客がガラッと入れ替わった。辺りはすっかり近郊街の風景だ。


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岐阜、到達!!


18時過ぎ、列車は終点岐阜へ到着した。これで高山本線は完乗だ。
この路線、想像以上に車窓が良かった!特に高山から美濃太田までの区間は圧巻だった。

しかし残念なのが、旅情溢れる国鉄気動車の撤退新型車の冷遇振りだろうか。
全線に渡って風光明媚な車窓が展開するのに、東海がロングシートの新型車をためらいなく導入したのは、
もちろん車両の運用上の問題であって、それ以上もそれ以下でもない理由なのは確かだ。

現時点で高山本線については、東海道本線の静岡地区と同じような見方を東海は持ってると考えていいだろう。
今後改善を望みたいが期待は禁物かな。所詮は東海だから。(←完全にディスってる)


東海道本線 (新快速) [岐阜~名古屋]

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さて、岐阜からは帰路だ。東海道の新快速で名古屋へ移動し、新幹線で東京へ向かう。
今日は雲が多かったものの天気は良く、至って平和だったのが良かった。

岐阜から20分強で、列車は名古屋へ着いた。
ここから再び新快速に乗り、豊橋から新幹線に乗ろうとしてたのだが、
体力がすっからかんになってしまったので、名古屋から潔く新幹線に乗って帰ろう!


のぞみ402号 [名古屋~東京]

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お土産を買った後、私は東海道新幹線の券売機へ向かった。
この時間帯の「のぞみ」の需要は尋常じゃなく、指定席券があっという間に売り切れていく。
取り敢えず、数本後の列車の窓側席を確保。疲れきってるので窓側でゆっくり休みたかったのだ

繁忙期の追加便「のぞみ402号」が、通勤客をボチボチ乗せて大都会東京へ発った。
定刻から寸分狂わず東京へ到着。そして帰りの常磐線で待ってるのは見慣れた日常だ。
すっかり馴染んだ上野東京ラインに乗って、22時過ぎに帰宅した。

・旅の総運賃:30600円(18切符2日分+アルペンルート運賃+私鉄運賃+バス運賃+新幹線運賃)
・乗った乗物の数:鈍行6本+快速2本+新幹線1本+市電2本+バス6本+ケーブルカー2本+ロープウェイ1本
・総距離/所要時間:約560km/1泊2日(岐阜からの帰路の分を除く)


思った以上に費用がかかったが、今回の北アルプス旅は計画通り完遂した。
北アの大自然が素晴らしかったし、多種多様な乗物に乗れたから楽しかったぞ!

(完結)

コメント

  1. てつかず より:

    お疲れさまです。

    高山本線も、新型のディーゼルカー
    はロング率高しなんで、残念感強いですね。
    もう、東海にクロス等の良い車両を、求めるのは難しいかと……。

    東海道(の静岡地区)は新幹線、高山・中央・紀勢の各本線(特に本数が減る部分)特急で行ってしまえ、なんでしょうかねぇ( ̄▽ ̄;)

    まぁ、何はともあれ、今回の長旅も無事に終われたみたいですね、お疲れさまでした。

  2. なまらゆうと より:

    てつかず様、コメントありがとうございます。

    遂に高山本線も国鉄車が撤退して、JRの新型車だけになってしまいましたね。
    新型車キハ25はまるで通勤電車のような風貌で、味気全くなしです。
    ただ、クロスシートに当たれば快適な鉄旅を楽しめるかと。当たれば、ですが(汗)。

    「新幹線に乗れ!」という選択肢しか用意されてないなら、私は今後飛行機(LCC)を多用しますね。早いし安いし。
    東海が"そういう"目方で在来線を切り詰めで運行させてるんだから、仕方ありませんね。
    東日本在住なので実感できなかったのですが、大多数の"鉄"が東海を嫌う理由が何となくわかってきました(苦笑)。

  3. 774の より:

    高山本線もローカル色がつよいですね、
    この夏は東海道線をのりつぶしたので来年は高山本線に乗ろうかなと思います

    管理人さん、三江線廃止だそうですね
    乗りにいかねばならぬ気がしますが、18キップの発売が待ち遠しいのです、どうしましょう…

    廃止といったらはまなすも北斗星も、カシオペア…は分かりませんが、最近は廃止ラッシュが続いて、悲しい限りです
    まだ乗ったことないものがなくなって行くことは悲しいものですね…

  4. なまらゆうと より:

    774の人様、コメントありがとうございます。

    東海道本線を完乗されましたか!静岡地区は鬼畜だったでしょう(笑)。
    高山本線は新型気動車に変わっちゃいましたが、車窓はローカル色たっぷりで良かったですよ。

    三江線廃止のニュース、見ました。早ければ2017年度に廃止ということになるのでしょうか。
    三江線は車窓が素晴らしいみたいなので、痛いですねー。山陰旅のときに無理やり乗っとけば良かった……。

    予想通り「カシオペア」も「はまなす」も廃止らしいですね。これで北国の"生きた"鉄道遺産はほぼ全滅ですね。
    留萌本線の末端も廃止されるし、北海道の秘境駅も来年で結構な数が廃止されるのだとか。
    やりたいことは、今のうちにやっといた方がいいかもしれませんね!

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