「長野途中下車旅 1日目 (小諸~姨捨~長野)」
[2014/9/8]
一日目が非常に濃密な今回の鈍行旅。
早朝に高尾から中央本線・小海線に乗り、清里から徒歩で飯盛山~鉄道最高地点を経て、JRとして日本最高地点の駅、野辺山までやってきた。
野辺山からは再び小海線に乗って進み、小諸でしなの鉄道に乗り継ぎ長野へ向かうことになる。
長野に着いたら、約10分後に発車する夜景列車「ナイトビュー姨捨」に乗車する。
タイトルの「値段」のネタ回収は後回しにしてw、まずは野辺山からの道のりを行こう。
小海線 [野辺山~小諸]
野辺山から再び小海線に乗って、終点小諸まで向かう。
小海線はハイブリッド気動車も走っているが、先ほどと同じくキハ110系が来た。
車内は空いており、ボックスシートに座って身体を休める。
野辺山からすぐは広々とした高原をひた走るが、
程なくして景色は渓谷へと移り変わり、千曲川と平行して進んでいく。
列車の走りはのんびりしていて観光列車ぶりのゆっくりした速度だ。
そのせいか寝不足なのか知らないが、揺れに任せて少し眠り込んでしまう。
うつらうつらしているうちに終点が近づいてきた。
車内はいつのまにか学生で埋め尽くされ、青春トークで盛り上がっている。
とある駅(地元高校の最寄り)から乗客がドッと増えるのは、ローカル線ならではの光景だ。
17時26分、列車は定刻通り終点小諸に到着した。
ここからはしなの鉄道に乗り継いで信越本線の長野まで向かう。
次に乗るしなの鉄道の列車は、17時34分発なのであまり余裕がない。
しなの鉄道 [小諸~長野]
JRとしなの鉄道のホームは共用らしく、改札を通らずすぐに乗り換えることができる。
第三セクターなので運賃を払う必要があるが、これは降車駅の窓口で払えばいい。
ごった返す学生に紛れながら対向ホームの長野行きに乗り込んだ。
しなの鉄道の主力車両はJRから譲り受けた115系。
かつては湘南色の169系が走っていたが、老朽化のため昨年に引退済みだ。
今回乗り込んだしなの鉄道115系は国鉄時代の面影を強く残していた。
どこも弄られた形跡がなく、座席の青いモケットも国鉄オリジナルのままだ。
小諸から進むうちに日が暮れ、篠ノ井から信越本線に直通で入る。
しなの鉄道としての終着は篠ノ井だが全ての列車が長野まで行くらしい。
やがて小諸から一時間で終点長野に到着。日は暮れたが今日はまだ終わらない!
今夜は大人気の夜景列車「ナイトビュー姨捨」に乗車する。
ナイトビュー姨捨 (中秋の名月号) [長野~姨捨]
ナイトビュー姨捨は、長野から姨捨駅の夜景を見に行くための臨時列車である。
大人気の列車らしく運行日は連日満席になってしまうという。
しかし今回キャンセルが出たのか、私は指定席券を確保することができた。
それで、いつも通り520円を払おうとしたのだが………
………あれ? 320円だっけ!?
買ったときはアレ!?って思ったが、よくよく考えて「ああ、そうか!」と気づいた。
今日9月8日は、今年夏の「ナイトビュー姨捨」運行日の中で唯一の閑散期なのだ。
運行日が閑散期の場合、基本料金から200円引きとなる。
(閑散期=1月16日~2月末日・6月・9月・11月1日~12月20日における、祝日及びその前日・振替休日を除く月~木曜日)
「※9月8日はおとな320円こども160円」
長野支社の公式HPを開くと、通常の指定席券代の下にこう注意書きが書いてあった。
この日だけ320円てのが奇妙で面白い。そういえば、閑散期の指定席券なんて初めて買ったな……。
窓口で指定席券買ったときは係員に騙されたんじゃないかと思ったぞ。
気を取り直して、いざ「ナイトビュー姨捨」に乗り込む。
車両はHB-E300系。主に「リゾートビューふるさと」で使用されているハイブリッド気動車だ。
発進時は電気モーターで静かだが、加速し始めるとエンジンが唸りやっぱり気動車なんだと気付く。
この臨時快速は、特急はおろか普通列車にも途中で抜かされながら進む。
普段走らない臨時列車なので、毎日走る定期列車の隙間を抜けていくのだ。
車内は年配方が多く、既に宴会状態といった様相だ。
姨捨に近づくと高度が上がり、左手に早くも夜景が見えて歓声が上がる。
スイッチバックで一旦停止した後、列車は後ろに後退し高台に位置する姨捨駅に到着した。
列車を降りると、JRの職員から手渡しでお月様にちなんだ「ゆでたまご」が贈呈された。
今夜は中秋の名月なのだ。ゆでたまごは今日だけの特別サービスらしい。
天気はすっかり回復していて、淀みなく綺麗な満月が見えた。
姨捨駅の夜景
これが、姨捨駅のホームから見渡せる夜景だ。
私のコンデジの粗い写真だといまいち雰囲気が伝わらないと思うが、姨捨駅の夜景は想像以上に素晴らしかった!
「銀河○丁目」なんて駅名がついてもおかしくない幻想的風景。
こりゃ人気が出るわけだーと納得してしまう(安いし)
「ナイトビュー姨捨」もう一つの魅力は、駅滞在中に様々な「おもてなし」を受けられることだ。
専属の係員から夜景についての解説を聞くことができ、駅構内では語り部も行われ、さらに信州味噌でつくった味噌汁も無料で頂くことができる。
素朴な味わいに癒されながら、肌寒くなってきた身体を温めた。
夜空に輝く十五夜の月。にしても、何て至れり尽くせりな列車なんだ。
320円で乗れるものとは思えない豪華ぶりである。
しばらくすると、松本方面から長野行き列車が入線してきた。
姨捨の夜景は定期列車を組み合わせても見に来ることができるが、
出来る限り往復でナイトビュー姨捨の指定席券をとった方が満足度は高いだろう。
一時間ぽっきり夜景を堪能した後、20時24分発折り返しのナイトビュー姨捨で長野へ帰還。
帰りは室内消灯もされ、流れる夜景の車窓を直に楽しむことができる。
これもまた他では見られないサービスだ。
盛況な雰囲気のうちに、折り返し列車は長野へ到着。
僅か320円で乗れるのが申し訳ないと思うくらい、充実感でいっぱいの列車だった。
今夜は駅前の宿で一泊となる。
明日は善光寺を参拝した後、長野から篠ノ井線に乗り再び姨捨駅で下車したい。
日本三大車窓なだけに、夜景だけでなく日中の景色も見てみたかった。
姨捨を下車した後は松本へ移動し、松本城を見学する予定だ。
疲れきった足を休ませ、時間をたっぷりとって夜0時に就寝した。