「北海道一人旅 3日目 (釧路~網走~遠軽~旭川)」
[2013/4/3]
厳重に2つセットしていた目覚ましが鳴り、今日は朝7時半に起床となる。
今のところ天気は雨だ。
朝食サービスがあったので、とりあえず腹ごしらえをする。
あまり時間もないので、食後すぐに支度を済ませてチェックアウト。
雨の中走って駅へ向かう。
今日は釧網本線と石北本線に乗車する。終点の旭川には夜8時過ぎに着く予定だ。
釧網本線 (快速しれとこ) [釧路~網走]
網走行きの快速「しれとこ」は定刻通り9時5分に釧路駅を発車した。
終点網走の到着が12時5分なので3時間ぽっきりの旅となる。
車両はキハ54形だが、座席は特急車両のお下がりが使われているのでとても快適だ。
車内はそこまで混んでいるわけではなく、観光客が7割ぐらいを占めている。
東釧路を出ると、列車は釧路湿原の縁を辿るように進む。
昨日乗った根室本線の末端ほどではないが、鹿が線路内に立ち入るので何回も急ブレーキがかかる。
鹿がすぐに退いてくれないのか、運転手はこれでもかと小刻みに警笛を鳴らしている。
人家の一切ない、正に自然そのものといった景色が続く。
今日は霧がかっているので非常に幻想的だ。
晴れていれば雄大な湿原の姿をありありと見ることができたはずだが、これはこれで素晴らしい。
霧の向こうに広大な湿原が広がっていることを考えると、逆に恐ろしくもなる。
山手線の内側が3つ分すっぽり入ってしまうほど広いらしい。
それこそ仮に迷い込んでしまったら遭難必至である。
途中下車して湿原を観察したいのだが、一度でも降りてしまうと今日中に旭川へ到達できなくなる。
とはいえ車窓からでも十分景色は楽しめるし、お腹いっぱいだ。
湿原を抜けると、再び人家がポツポツと見えてくる。
ここに来て初めて、今自分はすごいところを通ってきたんだなと実感する。
急速に天気が良くなってきた。雨もすっかり止んでいる。
やがて日も出て見渡す限りの雪原を照らす。
ずっと見ていると目がチカチカする。
遠くに山がそびえる。僕を含め観光客らしき乗客達が一斉にカメラを向ける。
全線に渡り、とにかく景色の表情がどんどん変わるのである。
知床斜里を出ると網走までずっと海のほとりを走る。
ほんのちょっとではあるが、ところどころ流氷らしきものがポツポツと浮かんでいる。
それから港町の横を抜け、列車はほぼ定刻通り終点網走へ到着した。
石北本線 [網走~遠軽]
遠軽行きの普通列車は12時10分に網走駅を出発した。
遠軽からはさらに旭川行きの普通列車に乗る予定だ。
旭川に着くのは時間通りにいけば20時5分、総じて約8時間の長旅である。
車両はもうすっかり見慣れたキハ40系だ。
網走駅を出るとすぐ、列車は網走湖の縁に沿って進む。
表面はまだ凍結していて、とても今が4月とは思えない光景だ。
普段雪がほとんど見られないところで生活しているから、すごい違和感がある。
しばらくはのどかな田園地帯の中を走る。
途中で沿線の学生達が大勢で乗ってくるが、数駅乗ったらすぐに降りていく。
金華駅を出ると列車は常紋峠に差しかかる。
そして、あの「タコ部屋労働」で有名な常紋トンネルをくぐり抜ける。
当時の想像以上に悲惨な実態とか、壁の補修工事の際に大量の人骨が発見されたというのは既に知っている。
実際に人骨が発見されているのはここだけらしい。
エンジンを唸らせながら急勾配を少しずつ登っていく。
しかし、列車は今にも止まりそうである。
20キロ出てるか出てないかぐらいの速度だ。
峠を越えると、列車は快調に坂を下っていく。
遠軽駅
遠軽駅に到着した。ここでは一時間弱の滞在時間がある。
駅前に蕎麦屋があったので、とりあえず腹ごしらえをする。
その後は駅周りを軽く探索することに。
全国でも数少ないスイッチバックの駅だ。
かつては反対側に名寄本線が繋がっていたが、平成元年に廃線となったらしい。
年季の入った駅舎に昔ながらの古き良き雰囲気が漂っている。
長く伸びるホームは当時の栄華を偲ばせる。2両編成の列車が停まるには侘しすぎるほど長い。
もう少し探索してみたいが時間が無くなってきたので、おとなしく駅へ戻って列車に乗りこむ。
その後、旭川行きの列車は定刻通り発車した。
石北本線 [遠軽~旭川]
この区間、特に遠軽から上川までの区間は列車の本数が恐ろしく少ない。
殊に上白滝駅は一日一往復しか列車が停まらない。凄まじい秘境ぶりである。
みるみるうちに山が深くなっていく。
うねうねと山が連なる。人家はほとんど見当たらなくなってきた。
超秘境駅の上白滝駅を出ると、列車は遂に北見峠に差し掛かる。
ここから長い長い峠越えが始まる。
また次の上川までの走行距離は34キロとかなり長い。
この上り普通列車の場合だと途中の信号場で特急の待ち合わせをするので、上川まで総じて1時間8分もかかる。
険しい山道がひたすら続く。ときおり遠くに山々が連なっているのが見える。
山と山の間を縫うようにして進んでいく。少しずつ日が暮れてきた。
特急待ちのため、途中の信号場で約20分停車する。特急通過後に列車は再び発車。
ここからは峠を下りていく。
延々と坂を下っているうちに日はすっかり暮れてしまった。
やがて上白滝から68分後に、列車は隣の上川駅へ到着。
隣駅までの道のりとしてはあまりにも長かった。
しかし、ここ上川駅でも約40分の停車時間がある。
もう、何から何まで長い。
その後も列車は至って順調に進む。乗客は僕も含めて2人だけだ。
やがて、定刻通り20時過ぎに旭川へ到着した。
駅前にある名物のラーメン屋で旭川ラーメンを存分に味わった後、すぐ宿に入って明日の計画を立てる。
あとはただ、寝るだけだ。