「西国片道旅行 3日目 (青島~宮崎~鹿児島中央~枕崎)」
[2014/8/15~16]
もうここまで来たか、、、。最南端片道旅の道のりもあと少し!
今日は早朝から日豊本線で宗太郎峠を越え、宮崎を経てここ青島までやってきた。
青島観光の後は日南線の上り列車で宮崎まで戻り、再び日豊本線に乗って鹿児島中央へ行く。
鹿児島中央からは指宿枕崎線に乗車し、最南端終着駅の枕崎へ向かうことになる。
日南線 [青島~南宮崎]
今日は天候が変わりやすいようで、急に出てきた日差しに喘ぐ。
熱気はあまり変わらないが、ダイレクトに照りつける太陽は東京と全く違う。
しばらくすると、宮崎行きの気動車がやってきた。
日南線は、特別な列車を除けば全てキハ40系で運行されているようだ。
途中の駅で外国人客が数人乗ってきて、車内はほぼ満員状態になった。
しかし、人目も気にせずベラベラ喋る欧米人の心境を理解できないのか、地元の乗客の見る目はどちらかというと冷たかった。
次の日豊本線への乗り換えのため、宮崎一つ手前の南宮崎で下車。
ここからは、最南端まで列車を3本乗り継いで進むことになる。
日豊本線 [南宮崎~鹿児島中央]
南宮崎から、再び日豊本線に乗って鹿児島へ向かう。車両は819系。
車内は至って空いており、悠々と木製クロスシートに座った。
宮崎以南は、線路は海沿いを離れて敷かれている。
田野付近では山の中も抜けるらしく、列車は少し高度を上げて進んでいく。
宮崎から約一時間後、列車は都城に到着した。
宮崎県の都城は「とじょう」ではなく「みやこのじょう」と読むらしい。
今まで乗ってた列車は西都城止まりのため、ここで鹿児島中央行きへ乗り換えなければならない。
九州は難読地名が多い気がする。一目見てもわからないものばかりだ。
昨年、窓口で八代「やつしろ」を「やよ」と答えて恥をかいたのを思い出した。
駅前で昼飯を買ってから、がら空きの鹿児島中央行き列車に乗り込む。
例によって寝不足続きのため、ぼんやりしているうちに少し眠ってしまう。
目を覚ますと、列車は鹿児島湾沿いを走っていた。
何だか雨が降りそうな空模様だ。
最悪、最南端を雨で迎えることになるかもしれない。
やがて都城から1時間強で、列車は鹿児島中央に到着した。
鹿児島最大のターミナル駅であり、駅前はとても立派である。
ここから遂に、JR最南端路線の指宿枕崎線に乗車する。
駅前で一服した後、指宿枕崎線が発着する1番線ホームに向かった。
指宿枕崎線 [鹿児島中央~枕崎]
ホームで列車を待っていると、お盆だからかあっという間に人が増えてきた。
この路線は、中間拠点の指宿までは住宅が密集していて混雑するという。
普通列車の他には快速列車もあり、観光目的の特急も出ている。
ほぼ満員状態で、枕崎行き列車が鹿児島中央を発車した。
終点の枕崎まで約2時間半の道のりだ。
最初は住宅地の中を進んで行くが、しばらくすると海沿いに出る。
地上から少し高いところを進むため、眺めは素晴らしいの一言だ。
指宿でドッと乗客が少なくなり、ここから先は普通列車が一日数本のみのローカル線となる。
ちなみに、指宿は「いぶすき」と読むらしい。
(絶対「ゆびじゅく」だと思っていたぞー)
そして指宿から3駅隣にあるのが、日本本土最南端駅である西大山駅だ。
ここで降りてもいいが、列車の本数が少なく途中下車は難しい。
とりあえず、車内から駅名標だけ確保した。
駅ホームで子供連れの家族が記念撮影をしていた。
家族揃って最南端駅に来るとは、筋金入りの“鉄”なのかもしれないな。
西大山を過ぎると、列車は雄大な開聞岳の脇を進む。
運の悪さは相変わらずで、ここにきて雨がポツポツ降り始めた。
雲が山にぎっしりと絡み付いており、眺めはすこぶる悪いのが残念だ。
それにしても、この区間は列車の揺れ具合が凄まじい。今にも脱線しそうな勢いである。
横揺れもかなりのものだが縦揺れが尋常でなく、身体が飛び上がって尾骶骨を強く打ってしまった。
線形が悪いのだろうか、列車そのものが酔っ払っている感じだ。
指宿以降は人家も少なく、より閑散としたところを走っていく。
線路は雑草が生え放題で、線路脇は藪が伸び放題だ。
切り通しも多く、進むたび藪が車体にバチバチ当たる。
列車の酔っ払い具合(?)も増してきて、いかにも最果てらしい趣きである。
終点が近くなると、再び人家が増え住宅地の中に入った。
最南端の終着駅まで、あともう少しだ。
枕崎駅
やがて鹿児島中央から2時間半で、列車は終点の枕崎に到着した。
東京から関西・四国・南九州を経て、二泊三日まるごと使っての到達となった。
沖縄都市モノレールを除き、東京から鉄道で来られる終着駅としては日本最南端となる。
駅周囲は住宅街であるが、最近新たにできたという駅舎が旅情を誘う。
雨上がりの湿気が半端なく、列車を出るとカメラのレンズが白く曇ってしまった。
滞在時間は数分しかないので結構焦る(しばらくすると収まった)。
ここまで来て何も撮れなきゃ、それこそ本当の馬鹿になっちまう。
下調べの際は「何もない侘しい駅」とあったが、今は駅舎があるからか最南端終着駅としての威厳を感じる。
元々枕崎駅は、手前にある本土最南端駅の西大山駅ばかりが注目されるためマイナーな存在なのである。
現在建っている駅舎は、市民の募金で2013年4月に建てられたそうだ。
駅舎があると何かホッとするし、改めて駅舎の力はすごいと思う。
駅前には本土最南端の始発・終着駅であることを示す碑がある。
さらにホーム脇には、南と北の始発・終着駅(枕崎ー稚内)を結んで示した看板があった。
枕崎市と稚内市は共に南北の始発終着駅を有し、2012年4月に友好都市が締結されたらしい。
次は稚内か、、、
最四端であと残るは最北端のみ!
恐らく最果て鈍行旅は次で最後となるだろうが、いずれ近いうちに行ってやろうと思う。
北海道新幹線が開業する前に、、、絶対に行ったるぞ、稚内!
駅構内を撮り尽くした後、私は数分後発車する指宿行き列車に飛び乗った。
折り返しの列車で復路を行く。
次第に日が暮れて真っ暗闇の中を突き進んでいくが、列車の激しい揺れっぷりは相変わらずで少し怖い。
指宿で列車を乗り換え、夜21時前に鹿児島中央へ到着。
駅前から鹿児島市電で繁華街に移動し、宿になだれ込んで一泊となった。
翌日は、鹿児島から新幹線で一気に東京へ向かう。
往路は3日まるまるかかったが、復路は僅か半日で完走となる。
新幹線に乗るのは中学の修学旅行以来だ。つくづく私は新幹線に縁がない人間だと思う。
朝起きて、宿近くの電停から市電に乗り鹿児島中央駅へ向かう。
歩いても行けるが、市電があると何だか無性に乗りたくなってしまう。
路面電車の、あのこじんまりとした温かい雰囲気が好きなのだ。
鹿児島中央駅
鹿児島中央は新幹線としての日本最南端駅だ。
駅の券売機で新幹線の切符を購入し、いざホームへ!
新幹線なのに、切符は鈍行のやつとあまり変わらないな、、、
一応、生涯2回目となる新幹線乗車(大げさな)。
気合いを入れていこう!
九州新幹線 [鹿児島中央~博多]
ホームに着くと、見慣れない九州新幹線の車両が停まっていた。
新幹線というと私は「のぞみ」の300系が連想されるのだが、既に引退済み。
これから乗車するのはN700系。現在の東海道・山陽・九州新幹線の主力車両である。
今日はお盆混雑の最中であり、ホームには旅客の列ができていた。
博多から怒涛の混雑が予想されているが、ここ鹿児島はまだそうでもない。
8時56分発、みずほ604号が定刻通り鹿児島中央を発車した。
列車は次第に速度を上げ、トンネルの多い線路を猛スピードで走っていく。
今までずっと鈍行だったので、その速度差はまるで比べものにならない。
鈍行では地に足ついていた車窓も、早回し映像のようか何かのようだ。
山陽/東海道新幹線 [博多~東京]
鹿児島中央から一時間強で、みずほ604号は博多に到着した。
みずほはまだ先を行くが、今回に限っては博多で乗り換えないととんでもないことになる。
今日は帰省ラッシュ真っ只中。ここから先、のぞみの自由席は大混雑するのだ。
しかしのぞみの始発となる博多から乗れば、座席を無事に確保することができる。
ホームは帰省客でごった返しており、10時29分発のぞみ22号は既に満席なので諦めた。
慣れない新幹線の乗車事情に戸惑うが、手堅く待っていれば座席を確保できるだろう。
11時04分発のぞみ24号に乗ろうと思ったが、その前に臨時便が来ると言うのでこれに乗ることに。
結果的に座席も無事確保でき、臨時のぞみは東京へ向けて出発する。
岡山辺りから立ち客が出始め、車内はほぼ満員状態になった。
並走する東海道線の鈍行を尻目に、のぞみは最高時速270kmで駆け抜けていく。
どうやら関東で大雨が降ったらしい。その影響か、列車は途中で詰まり始める。
尻が痛くなってきた頃に大都市の中に入り、のぞみは数分遅れて終点の東京に到着。
東京からは山手線で上野へ向かい、いつも通り常磐線に乗って帰路についた。
天気はぐずつき少しトラブルが多かったものの、結果的には無事成功した今回の最南端旅行。
お盆がピークを迎え賑やかな中での旅となったが、人があまりいないと寂しいしこれはこれで面白かった。
しかし宗太郎駅に途中下車したかったと、旅終わりで何度も悔やむことに(事前に調べておけばよかった)。
近いうちに廃止されてもおかしくない超秘境駅だが、いつか再び私が訪れるまで残っていてほしいと願いたい。